調布・深大寺で国チョウ「オオムラサキ」飼育活動続く-新たな観光スポットに

深大寺地域の雑木林の保全を目的に飼育されている国チョウ「オオムラサキ」。

深大寺地域の雑木林の保全を目的に飼育されている国チョウ「オオムラサキ」。

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 調布の深大寺で、雑木林の保全を目的に、日本の国チョウ「オオムラサキ」を飼育する活動が地元団体の手によって行われている。成虫したチョウは境内に設置されたかごで観察でき、光沢のある美しい青紫色の羽が参詣者や地元住民の目を楽しませている。

サナギになる直前の「オオムラサキ」の幼虫。エノキの葉で身をくるみサナギになる。

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 オオムラサキは、雄だけがきれいな羽を持ち、開長(羽を広げた大きさ)が8センチほどになる。日本各地に分布し、以前は同寺にも多数生息していたが、現在は宅地開発などにより雑木林が少なくなり、見かけるのは難しくなったという。そこで「深大寺なら育つのではないか」と農林業関連サービス企業に勤める吉野友隆さんが地元の住民などに声を掛け、5年前から飼育活動を始めた。

 夏、オオムラサキは幼虫の餌となるエノキの小枝に、10~20個の卵を産む。卵からかえった幼虫は秋に脱皮を繰り返し、葉が落ちる初冬前にエノキの根元の枯れ葉の下で、越冬する。春、エノキが芽吹き始めるころ、越冬を終えた幼虫は新しい葉をたくさん食べ、もう一度脱皮し6月ごろにサナギになる。

 5年前は地元の有志で行われていた飼育活動も、現在は同寺地域の景観保全を目指す「深大寺通り街づくり協議会」が主体となって行っている。同会では、オオムラサキが多数生息する山梨県で秋に卵を採取。同寺に持ち帰り、ふ化させた幼虫を育て、冬は冷蔵庫で管理。桜の開花ごろに冷蔵庫から出し、室温に戻すと1~2日で目覚めるという。目覚めた幼虫は神代植物公園が管理するエノキの木に移される。その後、最後の脱皮をするころに、同寺の境内に設置された観察かごに移され、サナギとなり、成虫に育つ。成虫になったチョウはかごから出し、自然にかえしている。

 同会の内田会長は「エノキの植樹も同時に行っている。深大寺が、『オオムラサキ』が自然に育ち、飛び交う、昔の武蔵の森のようになれるよう、雑木林の保全を行っていきたい」と話す。

 オオムラサキは、毎年6月初旬から7月中ごろまで観察できる。

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