「調布まちなか発電」(調布市布田4)は11月27日、調布市の保有する公共施設を借りた太陽光発電事業について協定を同市と結んだことを正式発表した。
同事業は市内38の施設を利用し、総出力は約1.1メガワット、総発電量は114万キロワット時(一般家庭の年間平均使用電力量の約300戸分相当)の予定。市民団体が立ち上げた事業会社が受託したことに加え、分散型だがメガワットを超える出力規模のパネルを設置するのは都内で初となる。
「一般社団法人調布未来(あす)のエネルギー協議会」が母体となり、非営利型の事業会社として設立した同社。同協議会は、環境省が実施する「平成24年度地域主導型再生可能エネルギー事業化検討業務」に市内環境関連事業者が採択されたことをきっかけに、再生可能エネルギーの普及・促進を目指して発足した。市民や市内事業者に加え、税理士や弁護士、金融機関などの専門家や学識経験者で構成される。
同事業は公募型プロポーザルで委託業者を選定。同社は発電した電力を、固定価格買取制度を活用し全量売電する。必要経費を引いた収益は全額、公共施設の使用電力量の削減に向けた事業に使用するとともに、エネルギー事情の改善に向けた調査や緑の保全基金などに寄付するほか、エネルギーに関する相談窓口を設置するなどとしている。また、事業の計画、運営、管理などにおいて市民が参加することで、経営の透明性を確保する。事業期間は20年間。
事業資金は約3億9,000万。多摩信用金庫がノンリコースローンで融資する。パネルの設置工事は2014年1月から3月にかけて実施する予定。
同協議会の代表を務める小峯充史さんは「調布のような住宅地域で、小さな屋根だけを使った分散型のメガソーラー事業を、市民が主体となって設立した事業会社で行うことは、全国的にも初めてに近いと思う。ただ、今回の発電事業は事業自体を目的とするものではなく、あくまでも調布で再生可能エネルギーの普及・促進に役立てることが目的。市民の皆さんがエネルギーについて関心を高め、未来を考えた上で自らエネルギーを選択するという行為そのものが、必ずや市民の皆さんの自律力、地域の自治力の向上につながると信じている」と話す。
今後は、民間施設での太陽光発電事業にも取り組むほか、2016年をめどに市民ファンドを設立し、今回の事業資金を融資から組み替えることも検討している。また、家庭や事業所から集められた生ごみを発酵させてできたメタンガスを電気や熱エネルギー、もしくは肥料に変えて販売する食品残渣(ざんさ)バイオマス事業の検討も進める。