「今日の日はさようなら」誕生の地・調布に歌碑を-市民有志が建立計画

「今日の日はさようなら」誕生の地、調布市の「つつじヶ丘児童館」

「今日の日はさようなら」誕生の地、調布市の「つつじヶ丘児童館」

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 「いつまでも 絶えることなく 友だちでいよう」。調布で誕生し「親子で歌い継ぐ日本の名曲百選」にも選ばれている「今日の日はさようなら」の歌碑を、この歌が生まれたゆかりの地、調布市に建立しようと市民有志が広く賛同を求め、基金を募る活動を始めた。

「思い出のアルバム」の歌碑(調布市西つつじケ丘、天台宗常楽院)

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 同歌は1960年代初め、「つつじケ丘児童館」(調布市西つつじヶ丘3)で活動していた青少年ボランティアグループ「ハーモニーサークル」の大学生・金子詔一さんが、児童館で毎週のように集う若者たちのために作詞・作曲。金子さんのギターの伴奏で「また会おう」の思いを込めて歌ったのが始まり。その後、フォーク歌手の森山良子さんの歌声などとともに全国各地で愛唱され、今年5月に行われた国立競技場のサヨナラセレモニーでも森山さんが「今日の日はさようなら」を熱唱した。

 金子さんがこの歌を作るきっかけになった「ハーモニーサークル」を調布に立ち上げたのは、北海道出身の元警察官、大野重男さんだった。少年課に勤務した経験もある大野さんは、当時、集団就職などで慣れない都会暮らしに苦労していた若者たちの相談相手になろうと、30代の若さで警察を辞め、調布・柴崎に一軒家を借りボランティア活動を始めた。

 大野さんが借りた家には、市内のクリーニング店やそば屋などに住み込みで働く若者たちが集まり、やがてその輪は広がり、活動の拠点は手狭になった大野さんの家から「つつじケ丘児童館」へと移った。初めは歌やゲームを楽しむ若者たちの集いだったが、その後、地域の子どもたちと交流するなどボランティア活動へと成長していった。

 同歌は、初の東京オリンピック開催を数年後に控えた都会の片隅で、高度経済成長期へと向かう日本を支えていた若者たちの「友情、きずな」、そして金子さんにとっては「平和」への思いを伝える歌でもあった。

 「歌碑建立委員会」は、元調布市職員の門傳代表(68)の呼び掛けで集まった市民有志13人で今年5月に設立。歌碑建立について大野さん、金子さんの了承を得られたことから、7月27日に発足式を兼ねた「発祥の地を歩く会」を開き、正式に活動をスタートさせる。現在、建立地の候補選定を進めており、今後は募金など市民への協力を呼び掛けていくほか、市や地元商店街、商工会などの後援・協賛も要請していく方針だ。歌碑の製作費用などを含め基金の目標額は約500万円。

 代表の門傳さんは、趣味で始めた尺八の会など長年、調布を中心に音楽活動を続けており、コンサートの終わりに歌う「今日の日はさようなら」が調布で誕生したことを「ぜひ、多くの人たちに知ってもらいたい」と話す。

 「歩く会」は、調布でやはり「名曲百選」に選ばれている「思い出のアルバム」ゆかりの天台宗「常楽院」(西つつじケ丘4)に集合。住職から境内にある歌碑にまつわる話を聞き、近くの集会所で発足式を行った後、つつじヶ丘児童館などを巡る。

 「歌碑建立」や募金などの問い合わせは委員会事務局(TEL 042-486-4472)まで。

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