
夏服への衣替えが進む6月、調布市立第六中学校(調布市国領3)が、制服にハーフパンツを導入した。
見た目にも爽やかと評判のハーフパンツ、「最高です!」と1年男子生徒
近年の猛暑対策として、昨年度からポロシャツを制服に導入した同校。佐伯あつ子校長は「生徒がより快適に学べる環境を整えたい」との考えから、昨年9月にハーフパンツの導入も決めた。きっかけは、他県の私立中学校で採用されているハーフパンツ制服の事例を知ったことだった。「涼しく、動きやすく、見た目もおしゃれ。制服のオプションとして導入したい」と即座に検討を始め、メーカーや市内の販売店と協議を重ね、翌年度の制服注文からの正式導入に至った。
六中で既に多くの生徒が着用している紺色と水色のポロシャツは、速乾性に優れ、しわになりにくい素材を使用。見た目にも涼しく、「洗濯が楽」と保護者からも好評だという。ハーフパンツは正式導入に先立って先行販売し、今夏に向けた注文で1年生では約2割が購入。ハーフパンツの制服は全国的にもまだ珍しく、業者によると都内の公立中学校では六中が初めてだという。
佐伯校長は「衣服を天候や体調に合わせて自分で選ぶ、決めることは当然の権利。制服も全員が常に同じである必要はなく、自分らしく組み合わせられるのが望ましい。制服が子どもたちに与えていた不自由さを軽減したかった」と話す。
「さらに、ポロシャツとハーフパンツはジェンダーレスにも対応できる。男女差なく着用でき、下着も透けにくい。全員が同じものを着るのではなく、一定のユニホームの中から個々に合わせて選べるようにした。私服にすれば格差や生徒間の遠慮といった課題も生まれる。制服のアイテムを増やすことで、生徒は、より自由な選択ができ、家庭の経済状況などを推し量られることも避けられる」とも。
紺色のポロシャツとライトグレーのハーフパンツで登校した1年の男子生徒は「涼しくて快適。薄くて肌触りもいい。制服の中で一番気に入っている」と話す。
市内の制服販売店「ユニフォームスタジオ調布店」(西つつじケ丘4)のショーウインドーに飾られた「ポロシャツ×ハーフパンツ」の制服を見た他校の保護者からも、問い合わせが寄せられているという。
佐伯校長は「まなびの森」構想を教育理念として掲げる。学校を生物多様性と共生社会の象徴である「森」と捉え、人権と多様性を尊重する教育を行っている。「植物はもちろん、菌類や虫、鳥、動物など多様な生き物が共存する森のように、六中では多様な制服を身にまとった生徒たちが伸び伸びと個性を発揮し、共に学んでいる」と話す。