
都立神代植物公園(調布市深大寺元町5、TEL 042-483-2300)が7月20日・21日、夜間に咲く花を観賞できる「大温室夜間公開」を開催する。
羽のようなサガリバナは翌朝に落ちる。房の下方はつぼみ(昨年7月)
同園大温室では熱帯の花木を中心にランやベゴニア、スイレン、小笠原や乾燥地の植物など約1300種類を栽培している。熱帯地方では夜間に活動する虫や動物が多く、それらに花粉を運んでもらおうと夜に花を咲かせる植物も多い。同園は17時に閉園するため普段は見られないサガリバナや、夜に咲いて芳香を放つシクンシなどを実際に見たり香りを確かめたりできる。
サガリバナは川沿いの湿地に生える常緑高木で、同園では例年7月下旬に花の盛りを迎える。多くの花が集まり房状にいくつも垂れ下がって咲くが、一つ一つの花は日暮れに開花し翌朝に落花することから「幻の花」とも呼ばれる。夜間公開日に咲けば、白いシャンデリアのような様子を見ることができる。
両日18時30分と19時30分から約10分間、ばら園テラスで深大寺の僧侶が声明(しょうみょう)を行う。声明は経文に旋律や抑揚をつけて唱える仏教声楽で、起源は古代インドにある。1200年前に最澄が日本に伝えた「天台声明」は法要にとどまらず、雅楽や舞楽と結びつき伝統音楽としても広がった。同園広報担当の土方千鶴さんは「自然に包まれた静かな夜の当園で、歴史ある祈りの調べを聴けるのは特別なこと。優美な旋律と神秘的な響きに耳を傾けていただければ」と話す。
温室前の噴水では18時15分から2時間にわたり「バブルミネーション」を行う。照明によって7色に照らされたシャボン玉が夜空に舞う演出で、初開催した昨年の来園者は「天の川みたいできれい」と言って喜んだ。土方さんは「噴水とシャボン玉の共演がロマンチックだと喜んでいただけた。今年も夏の夜のひとときを幻想的な風景と花で楽しんでもらえれば」と話す。
正門から大温室までの園路とばら園付近で、植物や軽食と飲み物を提供する「夜カフェ」を開く。野外イベントは降雨や強風の場合、中止や中断する。
開催時間は17時30分~20時30分(最終入園は20時)。一般開園終了後に立ち入り区域を制限して正門を再開門する。参加費は、一般=1000円(現金のみ)、中学生以下無料。年間パスポートや障害者手帳などの所持者も有料。荒天中止。