
ギャラリー展「先生お元気ですか 神代村に疎開した子どもたちの手紙」が現在、調布市郷土博物館(調布市小島町3)2階ギャラリーで開催されている。
1944(昭和19)年、東京都心から最も近い疎開地だった神代村(現・調布市)に赤坂区(現・港区)の子どもたちが疎開してきた。子どもたちは、寺社や学校など6カ所の学寮で生活し、神代村の人々は、食料や薬、生活用品や遊び道具を差し入れるなどの協力をした。当時19歳で赤坂区の小学校教員だった飯塚義一さんは1カ月半ほど子どもたちと疎開生活を送った後、群馬県の前橋陸軍予備士官学校に入校するため神代村を離れた。入校した飯塚さんに子どもたちは手紙を書いて送った。子どもたちの手紙のほかに飯塚さんの家族や同僚の教師などからの通信を含めると、手紙の数は約380信にも上った。飯塚さんは手紙を大切に保存し、2019年に同館に寄贈。同館では、戦後80年を迎えるに当たり、飯塚さんの協力を得てギャラリー展を開催した。
ギャラリー展では子どもたちの手紙をテーマごとに展示。軍国教育の下、子どもたちが戦争をどのように感じていたかがうかがえる手紙や、食事や遊び、空襲について書かれた手紙もある。地元の人々の協力の下、神代村に工場があった「和光堂」の浴場の入浴許可を取って、子どもたちが入浴していたエピソードもあるなど、子どもたちから見た疎開先での暮らしが、文章や絵で記録された貴重な記録となっている。
ギャラリー展が開催される調布郷土博物館は1974(昭和49)年開館。郷土の歴史や文化・に関する展示や講演会・講座、体験学習会などを行う。2024年に常設展示「調布の歴史」を一新した。
調布市郷土博物館の小森真衣さんは「今回の展示は、子どもたちから見た疎開の様子を知ることができるだけでなく、調布市域で学童疎開を受け入れていたことが分かる貴重な資料でもある。展示を通して戦争について考えるきっかけになれば」と話す。
開催時間は9時~16時。月曜休館(月曜が祝日または振替休日の場合直後の平日)。入館無料。11月24日まで。