府中市美術館(府中市浅間町1、ハローダイヤル050-5541-8600)で現在、企画展「小出楢重(ならしげ) 新しき油絵」が開催されている。
「帽子をかぶった自画像」1924年 油彩、カンヴァス 石橋財団アーティゾン美術館
同展は楢重の初期作品から絶筆に至るまでを紹介する回顧展で、大阪中之島美術館(大阪市北区)に続き関東では同館のみで開催。重要文化財「Nの家族」を含む代表作品や資料など約200点(前期・後期で入れ替えあり)が一堂にそろう大規模な回顧展は25年ぶり。
楢重は1887(明治20)年に大阪中心部の商家で生まれ、幼い頃から画家を志す。1907(明治40)年東京美術学校日本画科に入学、後に西洋画科へ転科。同展では少年時代のスケッチ、美術学校時代の習作や卒業制作を紹介する。
卒業後は大阪で活動し、1919(大正8)年に「Nの家族」で二科展樗牛(ちょぎゅう)賞を受賞。欧州旅行で東西の文化風土の違いを自覚すると、帰国した1922(大正11)から衣食住を洋風に改める。作品制作では「日本に根ざした『新しき油絵』が必要である」と独自のスタイルを求める。あでやかな発色、滑らかな絵肌、デフォルメと曲線を生かした伸びやかな造形など、洗練された油彩画スタイルを築く。画題も西洋美術に由来しながら、楢重が育った大阪文化などの日本らしさを取り入れた。
1924(大正13)年に鍋井克之、国枝金三、黒田重太郎と共に洋画の研究機関「信濃橋洋画研究所」を開設。多くの作家を輩出し、関西洋画壇に大きな役割を果たした。同展では3人を含む作家10人の10作品を展示する。
楢重は油彩画のほか、ガラス絵、日本画、挿絵、装丁、随筆など多彩な分野で才能を発揮した。会場では、さまざまな分野で発表した作品も紹介する。
展示のハイライトは、楢重芸術の真骨頂とされる裸婦作品7点。学芸員の小林真結さんは「『楢重の裸婦』あるいは『裸婦の楢重』と呼ばれるほど、生前から高い評価を受けてきた。1931(昭和6)年に43歳で病没した楢重の『到達点』ともいえる晩年の名品をじっくり鑑賞してほしい」と話す。
2月8日に小林さんによる展覧会講座「小出楢重がめざした、新しき油絵」を開く。1月17日と2月14日には「20分スライドレクチャー」を行う。いずれも講座室で14時~。参加無料、予約不要。
開館時間は10時~17時(最終入館は16時30分)。会期中の休館は月曜(祝日の場合は翌日)。観覧料(コレクション展を含む)は、一般=800円、高校生・大学生=400円、小学生・中学生=200円、未就学児と「府中っ子学びのパスポート」利用者は無料。前期=1月25日まで、後期=1月27日~3月1日。