調布・布田小学校で演劇鑑賞教室「父と暮らせば」 戦後の広島を二人芝居で

調布市立布田小学校で公演した劇団「オーガニックシアター」による「父と暮らせば」

調布市立布田小学校で公演した劇団「オーガニックシアター」による「父と暮らせば」

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 調布市立布田小学校(調布市染地1)で10月29日、校内演劇鑑賞教室「父と暮らせば」の公演が行われた。

小学生向きに大きな動作を取り入れた二人芝居「父と暮らせば」公演の様子

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 同教室は道徳授業の一環として、「演劇鑑賞を通じて演劇の素晴らしさを味わい豊かな心情を育てる」「鑑賞教室を通じて、マナーや望ましい態度を育てる」ことを目的に開催。出演する町野直子さんが調布市出身だったことから同公演が実現した。学校公開日に合わせ、1年生から6年生の生徒と保護者や地域の人たちが鑑賞した。

 公演は、井上ひさしさんが原作と脚本を手掛けた「父と暮らせば」。劇団「オーガニックシアター」の青沼かづまさんと町野さんが二人芝居で上演した。青沼さんはニューヨーク・ザ・アクターズスタジオ正会員のゼン・ヒラノさんに師事し、俳優として数多くの舞台で主演を務め、テレビドラマやCMなどで活躍。町野さんは文学座を経て、現代劇をはじめ、テネシーウイリアムズやシェイクスピアなどに挑戦し、精力的に舞台で活躍している。

 原爆投下後3年目の広島を舞台に、原爆で父親が他界し、自分だけ生き残ったことに負い目を感じ、生きることの意味を見いだせない娘と、それを心配しお化けになった父親が一緒に暮らす中での父親の心と娘の思いを、温かく時にはユーモラスに演出する物語。通常、同劇団は中学生以上を対象に公演しているため、小学生向きに大きな動作を取り入れるなど演出を変えた。鑑賞した生徒たちは大きな笑い声を上げ、原爆の恐ろしさを伝える場面では、真剣な表情を見せた。

 同劇団は「体育館での公演だったので、生の芝居を近い距離で見てもらい、楽しんでもらうことができた。今生きていることの大切さや多くの人の願いを背負って生かされていること、生き抜いてほしいというメッセージを受け取ってほしい。さまざまな災害がある昨今、親子の絆を深めるきっっかけになれば。今回の芝居で、将来役者になってくれる子がいたらうれしい」と話す。

 同校の江原幸一校長は「CMやドラマなど、短時間で解決するものが多い中、一つの物語全体を見ること、感じること、思うことは素晴らしい経験。演劇は照明や音楽、観客が一緒になることで成り立つことを学び、人が舞台で演じる良さを間近で見ることで、自分たちが演じるとどんな風に見えるのか、今月行う学芸会の参考にしてほしい」と話す。

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