特集

シリーズ【調布の老舗探訪】Vol.9
『かけるのが楽しくなる眼鏡を提案』
-「スイス堂」 3代目西根大介さん

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写真:スイス堂3代目店主の西根大介さん写真:スイス堂3代目店主の西根大介さん

白百合女子大と桐朋学園音大があり、おしゃれな街として知られる仙川。駅前には全長400メートルを超える商店街「ハーモニータウンせんがわ」があり、飲食チェーンや雑貨店などのほか、古くからの個人商店も多い。

2022年6月に放送されたテレビ東京系「出没!アド街ック天国」の仙川特集で1位に輝いたのも、「ハーモニータウンせんがわ」だった。この商店街の中心部に、2022年9月で創業75周年を迎える老舗眼鏡店「スイス堂」がある。

写真:レトロとおしゃれが混じり合う、5年前にリニューアルしたスイス堂店舗写真:レトロとおしゃれが混じり合う、5年前にリニューアルしたスイス堂店舗

75年の歴史を持つ老舗眼鏡店というよりも、眼鏡のセレクトショップといったイメージの同店。福井・鯖江産の眼鏡のほか、店主自らフランスで行われる世界最大の展示会に足を運んでセレクトした海外ブランドの眼鏡も取り扱う。「京王線沿線だと、ここにしか置いていないような珍しいブランドの眼鏡もあるんですよ」と3代目で、自身も眼鏡愛好家の西根大介さんは語る。

写真:フランスの人気ブランド「アンバレンタイン」をはじめとする上質なデザインの眼鏡ブランドがそろう写真:フランスの人気ブランド「アンバレンタイン」をはじめとする上質なデザインの眼鏡ブランドがそろう

スイス堂を創業したのは、西根さんの祖父、西根信一さん。秋田から上京し、都内の時計・眼鏡店で働いていたという。戦争が終わると、信一さんは1947(昭和22)年、世田谷区代田で「ニシネ時計店」を開業。時計と宝飾、眼鏡を扱う兼業店で、時計の取り扱いが多かった。

写真:世田谷区代田で創業した「ニシネ時計店」写真:世田谷区代田で創業した「ニシネ時計店」

その後、1964(昭和39)年の東京五輪の際に、道路整備により立ち退きを求められたことから、現在のスイス堂がある仙川に移転することになった。

写真:創業当時から現在も使っている時計の電池交換に使う器具写真:創業当時から現在も使っている時計の電池交換に使う器具

「スイス堂」と名付けたのも信一さんだった。時計の取り扱いが多かったため、「時計と言えばスイス!」と名付けたという。2代目の西根保さんが後を継いでから、少しずつ眼鏡の取り扱いが増えていったが、現在に至るまで眼鏡と時計の兼業店としての経営が続いている。

写真:リニューアル前の店の様子(2014年頃)写真:リニューアル前の店の様子(2014年頃)

3代目の大介さんは、店を継ぐ前にほかの眼鏡の会社に修業に出ていた。ある時、その会社の社長がスイス堂を訪れる機会があった。スイス堂を見た社長は「今のような昔ながらの時計屋ではお客さんが入らない。改装しなさい」とアドバイスしたという。それを受け、2017(平成29)年、70周年を機に店をリブランドし、改装することに。ロゴも初代の頃に使われていたものに戻した。

「地元の皆さんに楽しい眼鏡を選んでほしい」と大介さんが言うように、スイス堂は、仙川の人たちから地域の店として愛されている。初代信一さんの頃からの客もいるという。

スイス堂では、客がどのような自分に見せたいかをヒアリングし、求めているイメージを演出できるような眼鏡を提案する。「眼鏡は顔の上に着けるものだから目立つ。だから、ただ見えるだけではなく、かけて楽しい眼鏡、周りの人から褒められる眼鏡を提案したい」と大介さん。

実際、スイス堂の客は眼鏡のモデルのような役割を果たしているといい、客が周りの人から褒められたことで店を紹介し、新しい客を連れてくることも多いという。

創業75周年を迎える2022年はイベントを行うなど、新しい取り組みも行っている。オンライン販売にも着手し、7月にはオリジナルの帽子とTシャツも販売した(現在は完売)。「頑張って続けて、100周年を迎えたい」という次の目標もできた。

仙川の街がおしゃれなのは、スイス堂のようなおしゃれな眼鏡店の存在も影響しているかもしれない。

スイス堂
住所:〒182-0002 東京都調布市仙川町1-13-13
電話番号:03-3308-0001
営業時間:10時~19時
定休日:水曜日

スイス堂ホームページ

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