調布で、障がいにより意思表示が困難な人のコミュニケーションを支援する「ヘルプカード」の普及を目指すプロジェクトが始まっている。
同カードは東京都が標準様式を定め、50市区町村がそれぞれの地域に合わせた普及活動を行っているもので、調布市は2012年から取り組みを始めている。名刺サイズのカードに、調布市では、名前や緊急連絡先、飲んでいる薬やかかりつけの病院名などが書き込める形となっており、身体障がい者を中心に約6000枚を配布した。しかし、昨年10月に行った調査では、アンケートに答えた身体障がい者の約53%が「持っているが持ち歩いていない」、同22%が「持っていないが欲しいと思う(配布されたことに気付いていない)」と回答。無作為抽出で選んだ一般市民2000人のうち回答を得られた835人の75%が「全く知らない」と回答するなど、利用度や認知度の低さが課題となっていた。
同カードの普及にあたり、担当する同市福祉健康部障害福祉課が福祉作業所等連絡会のガイドブック「わくわ~く」を見て、その出来栄えに興味を覚え、同冊子の企画・編集を行っている「調布アットホーム」に相談したことからプロジェクトの発足に至った。調布アットホームは、市民が主体となり、地域の課題をビジネスの手法を用いて、継続的に解決しようとする「コミュニティービジネス」の推進を目指す団体。
同市では当初、同カードのPRチラシを作成し全戸配布することを検討していたが、アンケート調査の結果から、チラシの配布だけでは課題解決につながらないと同団体が判断。フォーラムなどの市民参加型イベントを交えながら普及を目指す企画を練り上げた。障がい者の地域での生活や就労を支援する施設「ちょうふだぞう」も参画している。
「調布未来語らいフォーラム」と名付けられた市民参加イベントは全5回を予定。ワールドカフェの手法で進められ、第1回は「調布での豊かな暮らしを考える」をテーマに6月11日19時~21時、国領のあくろすホールで開催される。併せて、小中学生を対象にしたポスターコンクールも実施。
「『目立つところに掲示すると障がい者と分かってしまう』という声も頂いているが、今回の企画をきっかけに、手帳の中に忍ばせておくなど、気軽に活用いただけるようになれば」と同市担当者。調布アットホームの入山さんは「ヘルプカードが活用されるには必要とする人と支援する人の両者への認知度向上が欠かせない。フォーラムやコンクールを通して少しでも普及できれば」と話す。
ヘルプカードは調布市市役所2階、障害福祉課で該当者に配布している。