調布市のアマチュア天文家・田中一幸さんはオーストラリアで6月23日、環の消失現象を間近に控えた珍しい姿の土星の写真撮影に成功した。
土星の環はとても薄いため、真横から見ると望遠鏡でも見えづらく消えてしまったように見える。この現象を「土星の環の消失現象」と呼び今年の9月4日、約14年ぶりに起きる。当日は土星の見かけの位置が太陽に近く観測に向かないため、田中さんは条件の良い6月に「環の細くなった土星」の撮影に挑戦し成功した。
田中さんによると「夏至の日本は日が暮れるのが遅く、西空の低い位置にある土星をきれいに撮影するのは大変。しかし、南半球のオーストラリアなら季節が反対のため日没が早く、梅雨の日本より観察しやすくなる」と話す。「環の消失現象を秋に控えた土星は、肉眼で見るといつもよりやや暗く感じた。望遠鏡で見る細い環の土星は、とても神秘的だった」とも。
土星は太陽の回りを約30年かけて一周(公転)し、地球から見た環の傾きは約15年周期で大きくなったり小さくなったりする。環の消失現象も同じ周期で起こり、前回は1995年から1996年にかけて起きた。次にこの現象が起きるのは2025年。