調布市を通る甲州街道などで現在、トランプが描かれた黒い自動車が見られるとインターネット上や運送業界で話題となっている。
黒い車体にトランプのマークと「Trump Inc」の文字が描かれた軽自動車は、主に運送事業などを展開する運送ベンチャー企業のトランプ(埼玉県川口市)の運送車。委託業務ドライバーを取りまとめ、大手運送会社から荷受けをした荷物を関東圏で配達している。西東京支店(府中市西府町3)は、府中・調布を中心とする西東京エリアの運送を引き受け、同社が業務委託する個人ドライバーに振り分け、顧客に荷物を届けている。
同社は、連日新聞紙上をにぎわす宅配ドライバーの労働問題について取材を受け、「ガイアの夜明け」や「報道ステーション」でも取り上げられた。人手不足と言われる業界において、同社の雇用は安定しており、20~40代の若いドライバーを中心に、同支店では約60人の個人ドライバーが日々トランプカーで荷物を運んでいる。
同社の取り組みとして、弱者といわれる個人ドライバーには歩合制ではなく日決めで最低賃金を保証し、車が必要な場合は新車も用意することで、人材の確保とドライバーの労働環境の改善に努めている。宅配ボックスの設置を推進しながら試験的に短時間シフトも導入し、働きやすい環境を整えていくことで、今後は女性ドライバーも増やしていきたいと考えている。
米・トランプ大統領の登場により、社名のネット検索が急激に増え、同社への求人応募が飛躍的によくなったことも雇用安定の要因。トランプカーの見た目やインパクトから駐車中に写真を撮る通行人が増え、配達先ではトランプ大統領について質問を受けることもあり、1994年創業の同社にとってトランプ大統領の誕生はうれしい誤算だったという。
同支店の鹿島裕也さんは「外出せずにネット通販が簡単にできる世の中だが、物流は元々アナログな行為で、荷物を運び届けるサービスは時間と労力がかかる。便利に買い物ができる裏には、目には見えないサービスが含まれていることを忘れないでほしい。全国の町にトランプカーが走る日がくれば」と話す。