調布市立小学校各校で4月6日、入学式が行なわれ、市内最大規模の上ノ原小学校(調布市柴崎2、TEL 042-485-1271)では児童数が1000人を超えた。
京王線つつじヶ丘駅から徒歩20分、周辺に公園や畑など自然が残る住宅街にある同校だが、かつて企業の社宅や大学のグラウンドだった土地が集合住宅になったことなどから児童数が増加。2016年5月1日現在の東京都教育委員会の統計では、都内の公立小学校中10位、市部で2位となり、近年は大規模校として常に名を連ねている。
同校の濵松(はままつ)章洋校長は2007年から2008年に同校副校長、2012年から同校長を務め、調布市教育委員会とともに児童数の増加に伴う数々の対応を行なってきた。2005年に少人数授業などに使う校舎を増築し、2010年に本校舎にも教室を増築、2014年には音楽室と家庭科室を主とした3階建て専科校舎を建設して教室を確保。さらに給食に関わる物品が増えスタッフの休憩場所の確保が難しくなり、手洗いの蛇口や保健室のベッドが不足するなど、児童数増加の影響はさまざまなところに現れ、都度改善を行なってきた。
全児童を一堂に集めると昇降口が混雑し教室に入るまでに時間がかかり授業時間に間に合わなくなるため、全校朝会は月1回にして学習時間を確保。運動会前には体育着で過ごすことが多くなり、気分的に高揚してしまうため癒やされる曲を流すことで落ち着かせ、廊下のコーナーには衝突防止用の鏡を設置するほか、アレルギー対応の給食チェックは確認カードを掲げることで一目瞭然にするなど、教員や職員の意見を取り入れながら、大規模校ならではのリスクに配慮した工夫をしている。
教員の数も多く、全ての考え方ややり方を統一するのは難しいため、必要なことは全校で統一するが、学年ごとのやり方を尊重しているという。
濵松校長は「児童数が多いということはトラブルの数も多いが、同じくらいうれしいことも多く、さまざまな個性の子どもに出会えることはとても楽しい。大規模校のメリットは、広い視野や多様性を学べること。一つのクラスに閉じこもるのではなく、クラスを横断して活動するなど、教員が担当学年の児童を見ることで、児童も教員もさまざまな個性を発揮する学校であってほしい」と話す。