フランスの伝統銘菓であるカヌレ専門店「ル・カナール」(調布市深大寺東町4、TEL 080-6673-5721)が12月24日、創業から10周年を迎えた。
カヌレ専門店「ル・カナール」店主の中谷優子さん(右)とスタッフ
フランス語を専攻しワインが好きだという店主の中谷優子さんは、フランス・ボルドーに留学した経験を持ち、かけがえのない時間を過ごしたボルドーと関わる仕事をしたいと同店をオープンした。フランスの伝統銘菓カヌレは、ワインのおりを取り除くために卵白が使われていた16世紀ごろ、残った黄身の使い道としてフランス・ボルドーで誕生したとされる。日本においては1990年代半ばに一大ブームを引き起こした後、下火となっていたが、ワインの次にボルドーを象徴するカヌレを突き詰めることを決意し、カヌレ型とレシピを持って帰国。2009(平成21)年に福生市で創業し、2015(平成27)年に移転した調布で10周年を迎えた。
本場ボルドーにはさまざまな大きさのカヌレがあり、中谷さんが提供するカヌレは、外側をガリッとするくらい硬く焼き上げ、内側のしっとりした生地とのコントラストを楽しむ直径3センチほどの小ぶりなふた口サイズ。焼き加減によって変わる外側と内側のバランスを試行錯誤し、持ち帰ったレシピを基本にオリジナルフレーバーも開発。基本の「バニラ」に加え、カカオを使用した「ショコラ」、和と洋のコラボ「抹茶」(以上130円)、そばで有名な深大寺にちなんだ「蕎麦(そば)」、季節限定の「マロン」(以上140円)など、自身が食べてみたい味や、季節の味、リクエストに応じた味など10種類程度用意し、日替りで5~7種類を販売する。
調布駅からバスで20分の住宅地という立地から店頭販売は週2日に限定し、その他の日は予約販売する。通信販売にも注力し、大手メディアが運営する「お取り寄せサイト」などでも販売。テレビ番組などにも度々取り上げられ、今年は迎賓館赤坂離宮アフタヌーンティーのスイーツにも採用された。
「メディアで取り上げられた後、交通の便の悪いこの店に多くのお客さまに来店いただき、あたふたしたことが最も印象に残っている」と10年間を振り返る一方、口の機能が低下するなどで硬いものが食べられない客にもスイーツを楽しんでもらいたいとの思いから、介護食について勉強を始め、節目の年を機にやわらかく飲み込みやすい新たなスイーツの提供も検討している。
中谷さんは「毎日同じ味、同じ食感のカヌレを作り出すのは難しいが、できる限り変わらない味を続けていきたい」と話す。
店頭営業時間は、金曜・土曜=10時30分~18時。日曜~木曜は完全予約販売。