地域密着型の即興音楽とアートのフェスティバルとして14年目を迎えた「JAZZ ART せんがわ2021」が9月16日、調布市せんがわ劇場(調布市仙川町1)で始まる。
「JAZZ ARTせんがわ2020」で行われた「CLUB JAZZ 屏風」。予約した観客が屏風に1人で入り、ミュージシャンが外から演奏を聞かせる。撮影:池田まさあき
2008(平成20)年に始まった同フェスは2019年から、実行委員会(総合プロデューサー=巻上公一さん、プロデューサー=坂本弘道さん・藤原清登さん)が中心になり「野生に還る音 親密な関係 生きる芸術」をコンセプトに自主開催している。
初日は、昨年亡くなった沖至(おきいたる)さんを追悼するステージで幕を開け、続いて灰野敬二さんがパフォーマンスを披露。17日は「ライブペインティングの日」と題した2部構成で、オリンピック閉会式で絵の具アート「Alive Painting」を披露した中山晃子さんが弦楽トリオと共演したり、仙川在住で漫画「レッド」の作家・山本直樹さんらが大友良英さん(ギター)と共演したりする。18日は、即興演奏作品「John Zorn's Cobra」を3年ぶりに取り上げる「John Zorn's Cobra 東京作戦 坂口光央部隊」。19日の午前は、日本を代表するジャズピアニストの渋谷毅さんが初出演しトークを交えた無料コンサートを行う。午後は坂田明さんを中心にした特別結成の四重奏団が本格的なフリージャズを演奏して幕を閉じる。
劇場で行う多彩なライブに加え、同フェスならではの企画が「CLUB JAZZ屏風(びょうぶ)」。舞台美術家の長峰麻貴さんが考案した極小ライブ空間は、演奏者と客が間近で即興音楽を楽しむための仕掛けだが、コロナ禍により以前のスタイルは難しくなった。そこで、今年は閉め切った屏風の中にミュージシャンが1人で入り、客は漏れ聴こえてくる音や演奏シルエットを外から楽しむスタイルを考案した。担当者は「ステージから客席に向けて演奏するのとは違うやり方で音楽の本質を問う実験的な試みになるだろう」と話す。設置場所は野外か劇場ロビーで、参加無料(予約不要)。
劇場ライブは定員を通常の121人から48人に減らし、消毒・換気などの対策を徹底して行う。チケットは専用サイトで販売。無料公演も予約が必要。「CLUB JAZZ 屏風」を除く全ステージを収録し、後日配信する予定。