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調布のバイリンガル劇「劇団バナナ」が10周年 子ども向け参加型公演続け

日英バイリンガルシアター「劇団バナナ」の夏を代表する作品「スカイ&エスター 船上の対決」

日英バイリンガルシアター「劇団バナナ」の夏を代表する作品「スカイ&エスター 船上の対決」

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 調布に本拠地を置く子ども向けの日英バイリンガルシアター「劇団バナナ」が7月7日、米ニューヨークで創設してから10周年を迎えた。

日英バイリンガルシアター「劇団バナナ」創設者の草野七瀬さん(中央)と劇団員・Kids 演劇創作ラボ第1期生の子どもたち

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 2012(平成24)年にニューヨークで「劇団バナナ」を創設した調布市内在住の草野七瀬さん。子どもの頃から演劇に親しみ、大学で自ら劇団を立ち上げ、国内外で公演を行ってきた。夫の転勤で1歳の長女を連れてニューヨークでの生活を始め、現地で仲間を募り、子ども向け演劇の同劇団を立ち上げた。日本語と英語を母国語とする子どもたちが集まった誕生日会で、初めて日英を混在させた劇を上演。帰国後は日英バイリンガルのミュージカルをメインに活動している。

 メインの対象年齢は0歳~10歳で、大がかりな装置は使わずにスーツケース1つでどこへでも訪問。動き回りたい年齢の子どもたちが自由に役者と対話しながら物語の世界に入り込む「参加型」の演出を、草野さん自身が脚本とともに手がける。物語は子どもと過ごす日常の中で気づいた子どもの感性や好奇心を刺激する題材を取り上げ、現在7つのオリジナル作品を用意。日本語と英語のどちらの母国語の子どもでも理解できるよう、せりふを日本語と英語を半々にし、いつの間にか言語の壁を超える経験ができるよう構成しているという。

 劇中の曲もオリジナルで約20曲を用意。コロナ禍以前は国内外の劇場、企業・自治体のイベント、施設でのボランティアなど、年間60回を超える公演を行ってきた。コロナ禍では活動が著しく制限されたが、イベント開催制限の緩和を受け徐々に公演も再開し10周年を迎えた。これまでの公演を振り返り、「国内、国外問わず、子どもたちが喜怒哀楽を特に表す場面は一緒で、人種・文化・言語の壁がない子どもの感性の素晴らしさを常に感じてきた」と草野さんは言う。

 ニューヨークの前に生活していた米ワシントンDCでは、劇場と演劇クラスを併設する演劇の総合的施設「Imagination Stage」に出合い、日本と異なり多くの人々が日常的に演劇に触れる文化に感銘。日本でも同様の文化が浸透することを理想に今年4月、子ども向け演劇教室「劇団バナナKids 演劇創作ラボ」を立ち上げた。7月23日・24日には、京王線調布駅前トリエ京王調布C館(調布市小島町2)の屋外広場「てつみち」で、水鉄砲などを使った夏を楽しむ作品「スカイ&エスター 船上の対決」を上演予定。

 草野さんは「演劇が特別な人たちの活動ではなく、観客にとっては想像力や好奇心を刺激してくれる場、役者にとってはコミュニケーションやチームワークなども身につけられる表現の場として広く浸透したら」と話す。

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