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調布・仙川にバイオリン工房 演奏もできる職人が名工のアトリエ引き継ぐ

「弦楽器工房Atelier KANNA (アトリエカンナ)」の修復の様子 1919年にドイツで製作されたバイオリンを修復中

「弦楽器工房Atelier KANNA (アトリエカンナ)」の修復の様子 1919年にドイツで製作されたバイオリンを修復中

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 ドイツ出身の名工が手がけたバイオリン工房を引き継いだ「弦楽器工房Atelier KANNA(アトリエカンナ)」(調布市若葉町1、TEL 03-6231-0959)が7月19日、調布・仙川駅近くにオープンした。

「弦楽器工房Atelier KANNA (アトリエカンナ)」店主の佛坂稜歩さん 

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 ドイツのバイオリン製作マイスターの称号を持つアンドレアス・プロイスさんが手がけ、4月で閉店した「プロイス弦楽器マイスター工房」を引き継ぎオープンした同店。プロイスさんの下で経験を積んできた佛坂稜歩さんが手がける。ピアノ教室を営みバイオリン奏者でもある母親の影響で6歳からバイオリンを習い、絶対音感を持つという佛坂さん。ものづくりも好きで、長年残るものづくりをしたいと、大学では土木建築を専攻する傍ら、オーケストラに所属してバイオリンの演奏を続けてきた。

 バイオリンを破損して修理してもらったことがあり、破損前よりも良い音が出るようになったことで修理に興味が湧き、中古のバイオリンを購入して独学で修理の技術を習得した。バイオリンは、「良い音が出る」という実用性と「美しさ」という芸術性を兼ね備え、銘器になると400年以上受け継がれるものもあることにも魅力を感じ、後世に残る「ものづくり」をしたいと、バイオリン製作の専門学校に転校。講師だったプロイスさんと出会い、プロイスさんの下で経験を積むとともに、ヤマハのリペアコーナーでもサービスを提供してきた。今回、プロイスさんが日本を離れることになり、店を引き継ぎ、初めての自身の工房を開くことになった。

 提供するサービスは、バイオリンをはじめとした弦楽器の修理、修復、音の調整、毛替えなどを引き続き行うほか、これまで自宅で修理し保管していた50本程度のバイオリンも販売し、新規の製作も請け負う。演奏もできる職人という立場を強みに、自分好みの音色や美しさではなく、客の要望に合ったバイオリン製作を目指すという。

 店名の「カンナ」は、職人に欠かせない工具の鉋(かんな)と、アイヌ語で「再び」の意味を掛け合わせた。ロゴには、自身の名前の由来である「稜線(りょうせん)を歩く」という意味から稜線をモチーフに「常に極みを目指す」という意味を込めた。

 佛坂さんは「職人が作るバイオリンには細かなところにまで職人の魂が宿っているようで、音色の違いも楽しみ。これからも一本一本、一人一人に誠実に向き合い、引き続き地域に根付いた店にできれば」と話す。

 営業時間は10時~19時。日曜・月曜定休。

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