
府中市郷土の森博物館(府中市南町6、TEL 042-368-7921)が9月13日、「郷土の森 曼珠沙華(まんじゅしゃげ)まつり」を始める。
曼珠沙華はサンスクリット語の「マンジュシャカ」を音写した言葉で、法華経(ほけきょう)に釈迦(しゃか)を礼賛する「天上に咲く赤い花」として登場する。本来は吉兆を示すものだが、日本では秋の彼岸頃に咲くことから「ヒガンバナ」と呼ばれ、死を連想させる怖いイメージがある。実際に球根は毒性があり、かつてはネズミよけとして墓地や田のあぜ道などに植えられた。
同館では園内にハケ(段丘崖)や田んぼなど市内の風景を再現しており、その一環として近隣農家から譲り受けた球根を植えてきた。10年以上かけて40万株まで増やし、開花すると園内一面が赤く染まる。一部には珍しい白いマンジュシャゲも見られる。
期間中に撮影した写真を対象にした「\博物館スタッフが選ぶ/ 曼珠沙華フォトコンテスト」を開催。広報担当の矢野緋奈子さんは「いつも近くで見ている私たちが『いいね!』と感じる写真を選ぶので、当館ならではの魅力が詰まった写真を応募してほしい」と呼びかける。マンジュシャゲを題材にした俳句も園内投句箱で受け付ける。
茶室「梅欅庵(ばいきょあん)」では土曜・日曜・祝日(9月20日・21日を除く)に、栗ようかんと抹茶をセットにした「曼珠沙華まつり特別呈茶」(1服600円)を数量限定で提供。当日、整理券を配布する。
ふるさと体験館では、マンジュシャゲのスタンプやステンシルでトートバッグを飾る「曼珠沙華工房」を15日に、造花を作る「マユで作る曼珠沙華」を21日に、それぞれ開く。いずれも材料費が必要。
28日には旧郵便取扱所前で、府中市の郷土芸能「武蔵国府太鼓」を演奏する(雨天中止)。不定期であめ細工やべっこうあめの職人が芸を披露したり、大道芸人が猿回しの実演を行ったりする。
例年の見頃は9月中旬~下旬だが、今年は猛暑の影響で開花が遅れる可能性がある。花状況は公式SNSとホームページ内の「季節の花ごよみ」で紹介している。矢野さんは「間もなくハギなど秋の花も見頃を迎えるので、日本の原風景を感じる景色を楽しんでいただければ」とも。
開園時間は9時~17時(最終入園は16時)。会期中は無休。入園料は、一般=300円、中学生以下=150円、4歳未満と「学びのパスポート」利用者は無料。10月5日まで。