部活動の地域連携で創部した調布市立第六中学校(調布市国領3)囲碁部の生徒が11月2日、調布市文化会館たづくり(調布市小島町2)で開催される調布市民囲碁大会に出場する。
調布市教育委員会は、教員に代わって部活動を指導する外部指導員を配置し、市内の公立中学校で部活動の地域連携を進めている。市の調査によると、休日の部活動を「地域人材に任せたい」と答えた教員は58%、「引き続き指導したい」と答えた教員は22%だった。生徒の部活動参加率は減少傾向にあり、部員が少なく大会に出場できない学校や、生徒の希望する部活動がないなどの課題もある。教員の働き方改革と将来の生徒数減少を見据え、市は地域移行を進めている。
市内の公立中で囲碁部があるのは六中と三中の2校のみ。六中は外部指導員を派遣する市のモデル事業として2024年にスタートした。創部2年目の六中囲碁部は、夏に3年生が引退し、現在の部員は10人。指導者は調布囲碁連盟理事長の遠藤和宏さんや保護者の三浦伸幸さんを中心に、プロ棋士の洪清泉(ほんせいせん)四段も加わる。同校の佐伯あつ子校長から依頼を受けた遠藤さんが快諾し、洪棋士にも協力を依頼したという。日本囲碁界のトップ棋士、一力遼九段も洪道場の門下生の一人。一力棋士は小学3年から中学1年でプロになるまで同道場で学び、現在、七大タイトルのうち四冠を保持している。「彼は院生時代からずばぬけた実力で知られていた」と洪四段は話す。
10月23日、六中の理科室では洪四段が碁盤の前に座り、攻め方を分かりやすい例え話を交えて指導。「囲碁は人と人が出会ってつくる芸術。無限の可能性があり、同じ形は二つとなく、毎回新しいストーリーが生まれる。それを互いに読み合うのが囲碁の面白さ」と話す。「囲碁は世界80カ国で競技されており、世界中に友人ができるのも魅力。いつか六中の生徒と外国の子どもたちとの交流戦を開きたい」とも。
部長で2年の三浦恵理さんは、両親が囲碁を打つことから小学5年で始めたアマ三段。「囲碁教室にも通っているが、学校で部活として囲碁ができるのはうれしい。先生方のおかげで1年生も真剣に練習し、どんどん強くなっている」と話す。市民大会では部員のうち5人が子ども部門に、三浦さんと同じく2年の生形優季さんなど3人は一般の部に出場する。三浦さんは「初めて一般の部に出るので、まずは1勝を目標にしたい」と意気込む。
「部活動が囲碁を始めるきっかけになる。礼儀や相手を尊重する姿勢、思いやりなど、人として学べることも多い。集中力も高まり、学業にもつながる。囲碁を普及する立場として、子どもの役に立てるのはうれしい。囲碁や将棋といった伝統文化を成長につなげてほしい」と洪棋士は話す。
遠藤さんは「連盟としても、中学生に囲碁を教えられる良い機会だと考えている。若い世代に囲碁を広め、成長の糧にしてもらいたい。囲碁部があることで六中を志望する生徒が増えればうれしい」と話す。