調布市を流れる多摩川の二ヶ領上河原堰付近の流域で今年もアユの産卵が始まった。
かつて高度経済成長時には「死の川」と呼ばれていた多摩川は、地域住民による活動などで水質が改善され、7年ほど前からアユの産卵数も増えてきた。一方で、現在は水温の上昇やペットなどの外来種の放流で「タマゾン川」とも言われている。
アユの卵は10日ほどでふ化。成長したアユは川を下り、海で冬を過ごして春になると戻ってくる。昨年は10月末ごろに産卵が始まったが、今年は10月末の低気圧の影響で3週間ほど時期が遅れた。11月23日には川崎市多摩区と高津区の多摩川河川敷で産卵場見学会が行われ、150人以上が産卵を見守った。
川崎河川漁協総代で飼えなくなったペットなどを受け入れる「おさかなポスト」創設者の山崎充哲さんは「身近な多摩川の現状を多くの方に知ってもらうとともに生物の命の大切さや多摩川の清流化の重要性を感じてもらえるとうれしい。年間1万匹にも上る『捨て観賞魚』と外来種による生態系破壊の危機も伝えることができれば」と話す。
アユの産卵は12月末まで続くと思われる。