10月2日、調布の八幡神社(富士見町2)で例大祭が行われ、約300年前から伝わる獅子舞が村内を練り歩く「道中舞」と、社前で舞う「土俵舞」が奉納された。
後継者が見つかり、昨年9年ぶりに復活した「土俵舞」(関連画像)
この獅子舞は、元禄年間に旧下石原村の名主と源正寺(げんしょうじ)住職が、鎮守(ちんじゅ)祭礼の興隆と若者たちの健全育成を願い、自ら獅子頭を作り、笛や太鼓を用いた舞を考案し指導。毎年の祭礼で鎮守へ奉納したのが始まりとされている。また、江戸時代に疫病が大流行したときに各戸を巡って舞い、疫病払いをしたと伝えられている。現存する獅子頭は女獅子(めじし)、中獅子(ちゅうじし)、王獅子(おうじし)の3頭で、調布市有形民俗文化財に指定されている。
戦後は例大祭で断続的に獅子舞が奉納されていたが、後継者不足のため2001年の例大祭の「道中舞」を最後に中断。しかし、獅子舞を後世に残そうと、氏子や地元住民が懸命に踊り手を探した結果、新たに若い後継者3人が引き継いでくれることになった。その後2009年の例大祭では「道中舞」が復活、2010年には「土俵舞」が復活した。
同神社を出発した獅子舞の列は旧甲州街道で下石原地区の山車やみこしと合流。太鼓、ささら、金棒、花がさ、平串持先導者、笛衆と一緒に、獅子は太鼓をたたき、「道中舞」を踊りながら約3時間練り歩き神社に戻った。その後、境内に作られた土俵で3頭の獅子は「土俵舞」を奉納。獅子たちの熱演は大勢の観客から大きな拍手を浴びた。
氏子総代の石坂亨さんは「獅子頭は約8キロあり、踊るには体力が必要。若い踊り手が参加してくれたことは大変うれしい。郷土の伝統芸能を後世に伝えるためにも、老若男女、さまざまな方が踊り手や笛の後継者に加わってほしい」と話す。