電気通信大学でレスキューロボット研究開発-阪神淡路大震災を教訓に

松野文俊教授とレスキューロボット

松野文俊教授とレスキューロボット

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 昨年12月に創立90周年を迎えた電気通信大学(調布市調布ヶ丘1)知能機械工学科の松野研究室は地震などの大規模被害に備えて、災害現場で実際に役に立つレスキューロボットやレスキューシステムの研究開発を進めている。

 工学博士である松野文俊教授は神戸大学で「宇宙における制御工学」を教えていた1995年1月17日、共同研究者である大学院生、竸基弘(きそいもとひろ)さんを阪神淡路大震災で亡くした。その苦い経験から大規模災害の現場で本当に必要なのは一刻も早く要救助者の位置を知り、安全に救援活動を行うことだと実感したという。同教授はそれまでの知識と技術を生かし、本格的なレスキューロボットやレスキューシステムの研究を始めた。

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 その後、同じ志を持つ研究者たちとともに防災や災害対応の啓発活動として「レスキューロボットコンテスト」(2000年~)や「ロボカップレスキューロボットリーグ」(2001年~)などを推奨し、松野研究室の学生たちも参加した。特に大学院生たちを中心に結成された研究室内サークル「SHINOBI」は2002年の福岡・釜山大会から毎会参加し、優勝や準優勝という成績を収めている。

 現在のメンバーである佐藤さん、伊藤さん、真野さん、水本さんは「コンテストで競争して結果を出すことはもちろんうれしいが、校内デモンストレーションなどの機会にレスキュー隊員から直接意見を聞けることがやりがいにつながる」と話す。また、研究員の大原さんは「松野先生は学生や研究員の自主性を大切にしてくれるので、自分たちも一生懸命研究を続けている。昼夜を問わず活動しているので、この研修室はまるで不夜城のようだ」とも。

 松野教授は大学内の研究だけにとどまらず、有志と2002年にNPO法人国際レスキューシステム研究機構を結成。震災10年目にあたる2005年からは、レスキュー工学を担う若手研究者や技術者を奨励するために、亡き学生の名を冠した「竸基弘賞」を設けた。「災害現場で本当に使えるレスキューロボットにするためには、産・官・学・民が一体になって進める必要がある。現在の研究の中心は、要救助者を探し現場の状況を調査する『サーチ』と、実際に救助の手助けをする『レスキュー』である。だが、広い意味で『レスキュー学』について考えたとき、必要なのは工学技術と医学とメンタル(心理)ケアだと考える」(同)。

 同教授の現在の研究テーマは、被災建造物の中で無線ネットワークなど必要なインフラを作りつつ、位置の特定など情報を集め提示する「情報収集型レスキューロボット」。「僕の究極の目標は、2050年に国際救助隊サンダーバードを作ること」と話す。