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調布・仙川のギャラリーカフェが閉店 暮らしとアート交差、13年に一区切り

店主の笠原夫妻。庭で撮影した写真が展示された店内ギャラリーで

店主の笠原夫妻。庭で撮影した写真が展示された店内ギャラリーで

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 調布市仙川の「カフェ&ギャラリー niwa-coya(ニワコヤ)」(調布市若葉町1、TEL 03-5315-2848)が3月12日、老朽化による取り壊しのため閉店する。

草木と花に囲まれた「niwa-coya(ニワコヤ)」の入り口 手前は海老沢農園の野菜が並べられた棚

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 同店は2004年10月、店主の笠原真志さんと文代さんが、自宅に週末ギャラリーをオープンしたのが始まり。賃貸物件だったが取り壊しが入居当時から決まっていたため、自由にリフォームなどをすることができ、自分たちで庭を造りギャラリースペースを増築して開店した。小さな庭に建つ小屋のイメージから「niwa-coya」と名付け、途中でカフェも併設した。

 閉店が決まり移転場所を探し始めた当初は、自然に囲まれた場所も考え、長野県なども回ったが、住み慣れた関わりの深い同地を離れがたいとの思いが強かったという。移転先が決まらない状況が続いた時、現家主の計らいで、同じ場所に店を再開することが決定。建物は新しくなるが、変わらないものを引き継いで、同店は2017年9月にリニューアルオープンする予定。

 文代さんは、暮らしの中で芸術に触れられる場所として存在したいとの思いから、買い物帰りにふらっと立ち寄れ、絵画や音楽、映画などを楽しめるように、数々の展覧会やライブ、演劇公演などを開いてきた。オープン当初から「暮らしとアートの交差点」になる店が、それぞれの町に一軒あると良いと考えていた。

 2010年からは移動映画館ユニット「kino iglu(キノ・イグルー)」と共催で、ほぼ毎年5日間の映画祭を開催。「映画を見た後に、映画にまつわるご飯を食べる」をコンセプトに、ランチタイムとディナータイムの1日2回映画を上映。上映後に、映画にまつわる料理や映画が作られた国の郷土料理を提供した。「映画と料理でショートトリップ。初対面の人が同じ映画を見て食卓を囲む。共通の話題が生まれて食事の時間も盛り上がり、楽しい企画だった」と真志さん。

 そのほか、同店は2009年から店舗入り口に設置した棚で、海老沢農園の採れたて野菜の販売を開始。支払いは店内となるため、無農薬で土のついた野菜を買いに来る地元客がギャラリーに立ち寄る。野菜販売を始めたことで、カフェのメニューが旬の野菜を意識したものになり、人のつながりも広がったため、暮らしとアートがより交差する場所になれたという。

 夫妻は「仙川が好きで離れたくないと思っていたので、また同じ場所に戻ってこられるのは本当にうれしい。どのようにやっていくかはまだ思案中だが、私たち2人は変わらないので、基本的にやりたいことは同じ。9月に再出発する新しいニワコヤにも、またたくさんの方に買い物帰りに戻ってきてほしい」と話す。

 営業時間は9時~18時。現店舗での営業は3月12日まで。

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