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調布・老舗洋菓子店が閉店 有名パティシエ輩出した名店、43年の営業に幕

3月14日に閉店する「サロン・ド・テ・スリジェ」

3月14日に閉店する「サロン・ド・テ・スリジェ」

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 調布駅北口近くの「サロン・ド・テ・スリジェ」(調布市小島町1、TEL 042-487-0675)が3月14日、43年の営業に幕を下ろし閉店する。

40年以上のロングセラー、丸い形が特徴のレアチーズケーキ「ガトーブリ」

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 同店はオーナーパティシエの原光雄さんがフレンチ料理人の豊島正さんと共に、フレンチレストランとして1974(昭和49)年にオープンした老舗の名店。2008年に同駅前開発に伴い、レストランは調布市グリーンホール内に移転したが、同地に洋菓子店だけを残しサロンを併設して営業を続けていた。原さんは、日本洋菓子協会連合会会長も務め、2015年には春の叙勲で旭日小綬章(きょくじつしょうじゅしょう)を受賞している。

 元和菓子職人の原さんは、30歳ごろから洋菓子に転向したいとパリで修業した異色の経歴を持ち、帰国後、当時は斬新な和洋折衷の洋菓子を作って話題となった。長年パティシエとして洋菓子作りを続ける傍ら、若いパティシエを育てることにも尽力し、「Quatre(キャトル)」の東健司さん、「ASTERISQUE(アステリスク)」の和泉光一さんなど、同店で修業し独立した有名パティシエも輩出。そのほか、2011年にフランスで開催された菓子職人の世界大会「「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」では審査員も務めた。

 オープン当初から店頭に並ぶ「ガトーブリ」(400円、税別)は、大好きなチーズを日本人にも知ってもらいたいとの思いから、原さんが考案したレアチーズケーキ。当時は日本でなじみのなかったレアチーズケーキだが、商品開発後はその普及にも努め、洋菓子の世界でベイクドチーズケーキと並ぶまでに広めたという。同ケーキは今なお変わらず人気商品で、40年以上のロングセラーとなった。

 現チーフパティシエ・田中元喜さんによると、「閉店は原社長が高齢になり店を続けることが難しくなったため。パティシエが勉強する場として、社長はやりたいことをやらせてくれた。スリジェで修業して独立し有名になった先輩パティシエも多い。ファンも多く長年愛されてきた店なので、閉店の貼り紙をしてからはケーキを買いに訪れるお客さまがいっそう増え、忙しい毎日を過ごしている」と話す。

 営業時間は10時~19時30分。現店舗の営業は3月14日まで。

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