
株式会社Trustyyle(本社:東京都中央区、代表取締役:吉田洋介)は、2025年10月18日(土)、運営するコミュニティ「人事図書館」にて『人事の羅針盤2025-人事史と最先端Techから探る激動の時代における人事の核心-』を開催しました。
人口減少やテクノロジーの進化など急速に変化する社会環境の中で「人事の核心」に迫る本イベントには、学術・実務・テクノロジーの各分野から17名の登壇者が集結。多様な視点と対話が交わり、アンケート回答者の99%が「次回も開催を希望」と回答するなど、大盛況のうちに幕を閉じました。本記事では、カンファレンス当日の会場や各セッションの様子を振り返ります。
【目次】
・開催背景と目的
・イベント概要
・当日のタイムテーブル
・各セッションおよび当日の様子
・参加者の声
・今後の展望
・登壇者一覧
・協賛企業紹介
人口減少や生成AIの進化など、社会・経済環境が急激に変化するなかで、企業の人事部門にはこれまで以上に高度な判断と柔軟な対応が求められています。
一方で、その変化に対して体系的な知見や解を持つ企業はまだ少なく、多くの人事担当者が「自分たちは何をすべきか」という根本的な問いに直面しています。
こうした状況を受け、人事図書館では「人事はどこから来て、どこへ行くのか」という視点から、人事の歴史や現在の事業環境、そして最新テクノロジーを紐解き、“人事の核心”を再考する場として『人事の羅針盤2025』を企画しました。
過去・現在・未来のと時間を旅しながら、これからの時代における人事の役割と価値を見つめ直すことを目的としました。
本イベントでは、法政大学や東京大学の研究者をはじめ、企業人事責任者、HRテック領域の実践者が一堂に会し、「人事の歴史」「人類の積み上げてきた研究知」「生成AI等最新のテクノロジー」の3つの視点からこれからの人事の在り方を議論しました。
基調講演、パネルディスカッション、対話型セッションを通して、多様な知が交わり、人事の新たな羅針盤を描く濃密な1日となりました。
・イベント名:人事の羅針盤2025 -人事史と最先端Techから探る激動の時代における人事の核心-
・人事の羅針盤2025 Webサイト:
https://jinjinorashinban.studio.site/
・開催日時:2025年10月18日(土) 9:00~19:00
・開催場所:大崎ブライトコアホール
・主催:人事図書館(株式会社Trustyyle)
・参加対象:企業人事、経営層、HR領域の専門家・研究者、学生など人・組織に関心のある方
・参加者数:200名以上
・登壇者:学術・実務・テクノロジーの分野から複数の専門家・実践者17名が登壇
■ オリエンテーション:『人事の羅針盤を持つ』

吉田 洋介 人事図書館 館長 株式会社Trustyyle 代表取締役
オープニングでは本カンファレンスの主催である人事図書館の館長 吉田より「人事はどこから来て、どこへ行くのか」という問いが参加者へ投げかけられました。
休日にも関わらず詰めかけた200名を超える『人・組織に関心のある』参加者、そして登壇者・関係者の皆様と人事のこれからを語り合う特別な1日が、あたたかな雰囲気の中開幕しました。
■オープニングトーク:『生成AI時代の人事に求められること』

石山 恒貴 氏 法政大学大学院地域創造インスティテュート/キャリアデザイン学部教授
最初のセッションでは、生成AIの進化と人口減少が進む時代において、人事に求められる役割の変化についてお話いただきました。石山氏は、日本の労働市場には「無限定総合職、標準労働者、マッチョイズム」という3点セットに対する「暗黙の了解がある」と述べ、AIを労働代替ではなく創造性を高める補完的存在として捉える視点を提示しました。「これからの人事は、従業員のニーズを把握することに情熱を持ち、対話に卓越することが求められている」という言葉に、多くの参加者がうなずきました。
■クロストーク:『日本人事が紡いできた人事の核心』

品川 皓亮 氏 株式会社COTEN 歴史調査チーム、人事図書館スタッフ
次のセッションでは、1年間にわたり取り組んできた「人事の歴史を辿るプロジェクト」の成果を共有。明治以降の人事制度や雇用慣行の変遷を分析し、社会構造・経済環境・国際関係など、複合的な要因が人事のあり方を形づくってきた過程を明らかにしました。「今後は各社が自らの理想像を定め、働く人々と共に新しい人事モデルを探す時代に入っている」そして「企業と人が同じ方向を向けること」が次の時代の力になるというメッセージが印象的でした。
パネルディスカッション:『人事の歴史から見る、我々の持つ特性とは』

(画像左から)佐藤 博樹 氏 東京大学名誉教授 中央大学ビジネススクール・フェロー/江夏 幾多郎 氏 神戸大学 経済経営研究所 准教授
「歴史を知ることで、いまの制度の“なぜ”が見えてくる。」人事の歴史を巡る問いを軸に、日本の人事の特性を多角的に検証。「なぜ歴史から学ぶことは難しいのか」「今の制度の根底にある思想は何か」といった問いを立て、近代以降の人事制度の形成と課題を掘り下げディスカッションを行いました。
両氏は、「人事は“社員”と“経営”の両方を見ていかなければならない」と強調。「社員が変われば人事も変わる。理論を信じすぎず、背景を理解することが大切」と語りました。
■クロストーク:『研究知が切り拓く、人事の未来』

(画像左から)江夏 幾多郎 氏 神戸大学 経済経営研究所 准教/岩本 慧悟 氏 株式会社ZENKIGEN 研究員 神戸大学大学院経営学研究科 エントリー・マネジメント研究教育センター
午後最初のセッションでは、経営学・組織論の研究知をどのように実務へ生かすかをテーマに議論が展開されました。科学知が扱う概念について、複雑な人と組織を理解するための「サーチライトである」と述べ、理論を答えではなく思考を深める手段として位置づけました。「実務家と研究者は観点が違うからこそ、ゴールを共有することが重要」と話し、参加者の学びが深まりました。
■クロストーク:『テクノロジーのもたらす事業インパクト』

(画像左から)三好 大悟 氏 株式会社リベルクラフト 代表取締役/勝村 泰久 氏 株式会社PeopleX 社長室・CTO室 室長
クロストークでは、「テクノロジーを活用できる会社・できない会社の違い」「社内での習熟度をどう高めるか」「テクノロジー活用において人事に期待したいこと」などをテーマに意見が交わされました。三好氏は「人事は最もぬくもりのある領域。データにならないものの価値を理解しているからこそ、AIやデータを使ってより良くできる」と語り、勝村氏は「生成AIによって、誰もが新しい仕組みを創り出せる時代。人事がプロダクト開発者のようにPDCAを高速に回すことが期待できる」と語りました。
■クロストーク:『最先端Tech企業の人事が語る テクノロジーは人事と組織をどう変えるのか』

(画像左から)太田 昂志氏 株式会社ゆめみ 上席執行役員CHRO/村上 絵里子氏 UiPath株式会社 執行役員 人事本部長/金野 真実 氏 ワークデイ株式会社 ピープル&パーパス シニアHRビジネスパートナー
次のクロストークでは「人事としてのテクノロジー活用の進め方」「経営からの期待の変化」などのテーマが取り上げられました。太田氏から「人事の役割は社員に答えを与えることではなく、自ら考えるための“問い”を投げかけられる環境をつくること。皆さん自身は社員に問いを生み出せる存在になれているか」と参加者に問いかけがあり、「人事とは何者か」「自分は何者か」を見つめ直すこのメッセージは、多くの参加者に深い余韻を残しました。
■パネルディスカッション:『これからの時代における人事の核心』

(画像左から)永島 寛之 氏 元レノバ 執行役員・CHRO 元ニトリ人事責任者 トイトイ合同会社代表 中央大学客員研究員/遠藤 亮介 氏 株式会社EpoCh 代表取締役 元国内外企業 人事責任者/坪谷 邦生 氏 『図解人材マネジメント入門』著者 壺中人事塾 塾長 株式会社壺中天 代表取締役
充実した1日の締めくくりとして行われたパネルディスカッションでは、「これからの時代における人事の核心」をテーマにディスカッションを行いました。VUCA時代の多様な価値観やテクノロジーの進化を背景に、「人事が何を軸に判断・行動していくべきか」を多面的に議論。「人事」とは「人を生かして事をなす」ことであり、その人を生かすの人の中にはあなたも含まれているという坪谷氏の発言が心に残りました。
■ クロージングトーク:『人事の羅針盤を持ち、私たちはどうするか』

吉田 洋介 人事図書館 館長 株式会社Trustyyle 代表取締役
最後に、人事図書館の館長である吉田より「人事部としてどうするかではなく、私がどうあるかからすべては始まる」というメッセージが送られました。勇気をもって、リスクを負って最初の一歩を踏み出す。この問いを胸に置きながら「私が」を大切に進んでいきたいという思いに、多くの参加者の共感をいただき、温かい拍手に包まれて幕を閉じました。
本カンファレンス内では、皆様が笑顔で交流し、熱心にセッションに耳を傾ける姿を多く拝見しました。ご参加いただけなかった皆様にも、当日の熱気と学びが少しでも伝われば幸いです。
■イベントの様子:参加者によるクロストーク&交流会
終了後のクロストーク・交流会では、登壇者の皆様や参加者同士で1日を通じての学びや気づきを語り合うお時間を過ごしていただきました。
イベント後のアンケートでは、
回答者の99%が「本日のようなイベントの開催を今後も希望する」と回答し、非常に高い評価をいただきました。寄せられたコメントの一部をご紹介します。
「人事は、自分からはじまる、という言葉がすごく刺さりました。果たして今自分は、自分が成し遂げたいと思っていることを推進できているのか?と考えさせられました。」
「テクノロジーの進化に人事ももっと追い付かなければいけないこと、1人称で考える大切さを感じました。経営層、現場との合意形成だけでなく、自分自身との合意形成を大事にしたいです。」
「経営視点、学術視点、テクノロジー視点、人事視点、多角的なお話が聞けてとても興味深く参考になりました。」
「多くの問いをもらって、まだ消化し切れていないことがたくさんありますが、非常に充実した時間を過ごすことができました。」
「想像以上に参加者の数が多く、積極的に学ぶ人事の方々(同志)がこんなにたくさんいることに勇気をもらいました。様々な角度のテーマのセッションをご準備いただき、今は頭がパンク状態ですが、後ほどゆっくり咀嚼したいと思います。」
「人事の羅針盤2025」は、学術・実務・テクノロジーの各分野のプロフェッショナルが集い、「人事の歴史」という観点からのアプローチで人事の核心に迫る濃密な1日となりました。参加者の皆様からいただいた熱意と貴重なフィードバックを糧に、人事図書館は今後も「仲間と学びで、未来を拓く」をタグラインに、人事に関わるすべての人々にとって価値ある場を創造してまいります。今後、登壇者とのアフターイベント等も予定しています。 次回のイベントや今後の活動については、公式サイトやSNSにて随時お知らせいたします。どうぞご期待ください。

※登壇順
・石山 恒貴 氏:法法政大学大学院地域創造インスティテュート/キャリアデザイン学部教授
・品川 皓亮 氏:株式会社COTEN 歴史調査チーム、他3名
・佐藤 博樹 氏:東京大学名誉教授 中央大学ビジネス スクール・フェロー
・江夏 幾多郎 氏:神戸大学 経済経営研究所准教授
・岩本 慧悟 氏:株式会社ZENKIGEN 研究員 神戸大学大学院経営学研究科 エントリー・マネジメント研究教育センター
・勝村 泰久 氏:株式会社PeopleX 社長室・CTO室 室長
・三好 大悟 氏:株式会社リベルクラフト 代表取締役
・太田 昂志 氏:株式会社ゆめみ 上席執行役員CHRO
・村上 絵里子 氏:UiPath株式会社 執行役員 人事本部長
・金野 真実 氏:ワークデイ株式会社 ピープル&パーパス シニアHRビジネスパートナー
・永島 寛之 氏:元レノバ執行役員/CHRO 元ニトリ人事責任者 トイトイ合同会社代表 中央大学客員研究員
・遠藤 亮介 氏:株式会社EpoCh 代表取締役 元国内外企業 人事責任者
・坪谷 邦生 氏:『図解人材マネジメント入門』著者 壺中人事塾塾長 株式会社壺中天代表取締役
・吉田 洋介:人事図書館 館長 株式会社Trustyyle 代表取締役

2024年4月1日に東京人形町にオープンした、人事関連職が集まるコワーキング×コミュニティ。2500冊以上の人事に関する書籍と700名以上の会員を有しており「仲間と学びで、未来を拓く」をタグラインに運営しています。
所在地: 東京都中央区日本橋蛎殻町1-12-7 WACROSS NINGYOCHO 6F
設立: 2024年4月1日
公式ホームページ: https://hr-library.jp/
公式X: https://x.com/hr_library0401/
公式LinkedIn: https://www.linkedin.com/company/hr-library/