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調布で安部公房生誕100年祭 調布に暮らし築いた功績や素顔に迫る

「仙川 安部公房生誕100年祭」実行委員長の桑原昇さんとポスター

「仙川 安部公房生誕100年祭」実行委員長の桑原昇さんとポスター

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 作家・安部公房の生誕100年を祝うイベント「仙川安部公房生誕100年祭 調布に住んだ文豪」が9月29日、調布市文化会館たづくり くすのきホール(調布市小島町2)で開催される。

「仙川 安部公房生誕100年祭」に向けた読書会「砂の女」の様子 鳥羽教授とペーター・ゲスナー教授が登壇

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 世界的に高い評価を受け、「ノーベル文学賞に最も近い人物」と評されたこともある日本の小説家・劇作家、安部公房。映画や演劇の脚本も手がけ、作品の数々は20言語以上に翻訳されている。今年、生誕100年を記念した企画が各所で催され、3月には既刊文庫作品が電子書籍化、8月には小説「箱男」が映画化された。

 安部は30代半ばから亡くなるまでの34年間、調布市仙川の街で暮らした。妻の真知さんが長年愛用していたセレクトショップ「aZi」店主の山口三詠子さんは安部夫妻とも親交が深く、「安部公房が暮らした足跡を残したい。成し遂げたことを知ってほしい」と「仙川 安部公房生誕100年祭実行委員会」を発足。100年祭に向け、安部公房を研究する鳥羽耕史早稲田大学教授に協力を仰ぎ、2023年11月から毎月1回、読書会「鳥羽先生と読む安部公房」を開催してきた。

 読書会は毎回題材を変え、代表作「砂の女」を題材にした時には、鳥羽教授に加え、同作を原作とする舞台「砂女」の演出を手がけた演出家で桐朋学園芸術短期大学のペーター・ゲスナー教授も招いた。これまでに9回開催し、10~70代の幅広い年代が参加。茨城県や神奈川県から訪れる人や留学生など、延べ200人以上の安部公房ファンがそれぞれの解釈を語り合った。読書会後の懇親会でも話は尽きず、実行委員長の桑原昇さんは「学生の参加も多く、若い方々に反響があったのはうれしかった。常連も増え、改めて安部公房作品の奥深さを再認識した」と振り返る。

 活動の集大成となる「仙川 安部公房生誕100年祭」では、安部公房が調布に築いた功績や、安部公房・真知夫妻の物語や思いを知ってもらう企画を用意し、第1部として、1964(昭和39)年公開の映画「砂の女」を上映。第2部では、1962(昭和37)年公開の映画「おとし穴」の上映に加え、鳥羽教授、安部公房の戯曲「幽霊はここにいる」の初演に出演した劇団俳優座の川口敦子さん、発起人の山口さんによる生誕100年記念鼎談(ていだん)「俳優座、仙川と安部公房・真知夫妻」も行う。

 桑原さんは「映画の鑑賞だけでなく、鼎談を通し、安部公房が調布で築いた功績や、真知さんとの知られざる仙川での生活を知ってもらう機会になれば」と話す。

 開催時間は14時~20時。入場無料。予約優先。

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