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調布で井上弘久さん独演「椿の海の記」 法政大・田中優子名誉教授の講話も

独演「椿の海の記」3作目十六女郎の水俣公演(水俣おれんじ館) 写真・高平雅由

独演「椿の海の記」3作目十六女郎の水俣公演(水俣おれんじ館) 写真・高平雅由

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 演劇家・井上弘久さんによる独演「椿(つばき)の海の記」のシリーズ3作目となる「十六女郎」が11月30日、調布市調布駅近くの「MNHシアター」(調布市調布ヶ丘1)で上演される。

独演「椿の海の記」の井上弘久さん アットホームな雰囲気の調布公演会場MNHシアターにて

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 40年以上にわたり舞台役者や演出家として活躍してきた井上弘久さん。劇団を主宰する一方で、大学の非常勤講師として「戯曲シナリオ演出」「身体論ワークショップ」などの講義を持ち、小中高生の演劇の演出や審査員なども務めてきた。劇団解散後、「自分の気に入った文学作品を自分なりに語り、多くの人に届けたい」という思いを持っていたところ、教え子の卒業生から「舞台化してほしい」とアメリカ人作家の小説をプレゼントされ、それをきっかけに独演を始めた。

 当初、外国作品を演じていたが、ライフワークとして取り組むべき国内作品を見つけたいと模索する中、気になっていたのが、水俣(みなまた)病患者の魂の言葉を紡いだ小説「苦海浄土」の作者・石牟礼道子さん。偶然近所の図書館で出合った自伝的小説「椿の海の記」にすぐに引き込まれたという。そこには、90余年前の水俣の豊かな自然と、そこに宿る神々と人間との共生世界が描かれ、まさに現代の日本人が忘れてはならない貴重なもので、「これこそライフワークとして届けるべき作品」と直感し、全11章の連続上演を決意した。

 2018(平成30)年に独演を始め、約3年かけ、都内を中心に全11章の公演を行った後、2022年に全国公演を始めた。調布は初めて招かれて公演を行った場所で、以前から付き合いのあるMNH(同)との縁から、昨年11月に「MNHシアター」のこけら落とし公演として第1章を、今年3月に第2章を上演した。3回目となる今回は、第3章・第4章からの演目「十六女郎」を上演する。

 昨年8月、石牟礼道子を研究し、井上さんの独演を高く評価している法政大学の田中優子名誉教授を招き、下北沢でシンポジウムも開催。今回の調布公演でも、第1部として田中さんの講話を行う。

 井上さんは「今回の演目は、全章連続上演を考え始めるきっかけとなった章で、印象的なエピソードなので、これまでの章をご覧になっていない方でも楽しんでいただけると思う。調布の近隣の方々に、ぜひ足を運んでいただければ」と話す。

 開演は13時30分と16時30分。料金は3,000円。要予約。

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