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府中で江戸時代の洋風画展 「かっこいい」司馬江漢と亜欧堂田善

亜欧堂田善「両国図」重要美術品 秋田市立千秋美術館(前期・後期)

亜欧堂田善「両国図」重要美術品 秋田市立千秋美術館(前期・後期)

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 府中市美術館(府中市浅間町1、ハローダイヤル050-5541-8600)で3月15日、「春の江戸絵画まつり 司馬江漢(しば・こうかん)と亜欧堂田善(あおうどう・でんぜん) かっこいい油絵」が始まる。

「府中のモナリザ」とも言われる 司馬江漢「円窓唐美人図」府中市美術館(前期・後期)

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 江漢は江戸時代の絵師で、地図や星座図の銅版画を刊行する科学者(蘭学者)でもある。1747年(あるいは翌年)江戸の四谷で生まれ、浮世絵師・鈴木春信に入門。20代後半に宋紫石(そう しせき)から中国風の花鳥画を学び、30歳ごろに平賀源内らと交流し西洋絵画に興味を持つ。42歳のとき長崎旅行に出かけ、見物した鯨漁を絵にしたり、旅行記を刊行したりする。

 田善は1748年に陸奥国白河藩の須賀川(福島県)で生まれ、兄の紺屋を手伝い絵も習う。44歳のとき亡兄の跡を継ぐが、47歳で藩主・松平定信に起用され谷文晁(たに・ぶんちょう)に師事する。医学書の解剖図や俳諧撰集(せんしゅう)の挿絵、幕府天文方編さん地図などの銅版画も制作している。

 2人が描いた「洋風画」とは江戸時代に西洋絵画の影響を受けて描かれた日本の絵のことで、明治以降に西洋流の描き方で描いた「洋画」と区別される。2人の油絵はエゴマ油などで調合した独自の絵の具を使い、昔から日本で使われていた薄くて繊細な絵絹(えぎぬ)に描く。「滑らかでさらりとした明朗かつ落ち着きのある色」で、西洋風とも日本風とも言えない雰囲気がある。同展では2人の生い立ちや目指すものの違いに注目しながら、油絵や銅版画、墨や在来の絵の具を使った作品を紹介する。前期(4月13まで)と後期(4月15日~5月11日)で作品を入れ替え、延べ190点を展示。

 同館学芸員の金子信久さんは「2人の作品を見た人から『かっこいい』という言葉をよく聞く。西洋画法への興味がストレートに表れ、重厚で複雑な油絵とは異なる魅力にあふれ、それが新鮮で潔く感じられるのかも」と話す。

 金子さんによる展覧会講座「司馬江漢と亜欧堂田善 名前も絵もかっこいい!」を5月3日14時、府中市生涯学習センター(同館から徒歩5分)で開く。無料。会期中、展覧会を見ながらクイズに挑戦する子ども向けイベント「こうかんでんぜん探検隊!」も行う(年齢制限なし)。

 開館時間は10時~17時(最終入館は16時30分)。会期中の休館は月曜(5月5日は開館)。観覧料(コレクション展を含む)は、一般=800円、高校生・大学生=400円、小学生・中学生=200円、未就学児と「府中っ子学びのパスポート」利用者は無料。観覧券に2度目半額の割引券が付く(同展1回限り有効)。

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