
都立神代植物公園(調布市深大寺元町5、TEL 042-483-2300)は5月20日、栽培中のショクダイオオコンニャクから花の一部が現れたと発表した。希少な花の開花が近づいているとして期待が高まっている。
ショクダイオオコンニャクは、インドネシアのスマトラ島原産のサトイモ科コンニャク属で別名「スマトラオオコンニャク」。数年に一度、巨大な花(花序)をわずか数日間だけ咲かせ、腐敗臭のような強烈な臭いを放つのが特徴。「珍しい花の姿と臭いを間近で観賞したい」という来園者の注目を集め、これまでも話題になった。
同園は大温室で4個体を育てており、そのうちの1鉢が2011(平成23)年11月、2015(平成27)年9月、2019年7月、2021年6月に開花した。通常の新芽は葉か花のいずれかに成長するが、2022年12月に葉と花が同時に現れて開花するという世界2例目のケースが起きた。改築工事の小石川植物園(文京区)から預かった鉢が2015(平成27)年7月に花を咲かせたこともあり、多くの経験を積み重ねてきた。
今回は4月14日に発芽し順調に成長を続け、ゴールデンウイーク後から全体を包む鞘状葉(しょうじょうよう)の伸びが速くなった。世話をしている園芸係スタッフは芽の形から花であろうと思っていたところ、5月20日朝、高さ84センチの先端から花の器官「付属体」が姿を現し確定した。
付属体はやがて高さ2メートル以上に伸び、それを取り囲む「仏炎苞(ぶつえんほう)」が1メートルほど広がると開花となる。全体が巨大な燭台(しょくだい)のようで、花序としては世界最大級。生殖器官の雄花や雌花は付属体の根元にあるため見えず、受粉を助ける甲虫を集めるために腐敗肉のような臭いを放つ。その異様な姿と悪臭から、イギリスの王立園芸協会が2009年に行った投票で「世界一醜い花」に選ばれた。
同園はSNSを通じてショクダイオオコンニャクの最新情報を知らせ、開花時は夜間公開や臨時開園などの対応も行う。広報担当の土方千鶴さんは「仏炎苞が開いているのは2日間ほどと短いので、咲いたら早めの来園を」と呼びかける。「これまでの経験から6月初めに開花すると予想されるが、個体によって違うのでしばらく注視したい」とも。
今後は、付属体の伸長が止まると仏炎苞がゆっくり開き始める。開花は昼過ぎから始まることが多く、夜間に最大に広がり悪臭も強くなる。翌日には徐々に臭いが弱まり、仏炎苞もだんだん閉じ、数日後に花序が枯れ始める。
開園時間は9時30分~17時(入園は16時まで)。月曜休園(祝日の場合は翌日)。入園料は、一般=500円、65歳以上=250円、中学生=200円(都内在住在学の中学生は無料)、小学生以下無料。