新本館棟の建設を進めていた「東京慈恵会医科大学附属第三病院」(狛江市和泉本町4、TEL 03-3480-1151)が1月5日、名称を「(仮称)東京慈恵会医科大学西部医療センター」に改め、開院する。
「(仮称)東京慈恵会医科大学西部医療センター」に導入された最先端医療機器
同院は1950(昭和25)年に開院し、地域密着型の病院として地域医療を担い、「東京都がん診療連携拠点病院」「地域医療支援病院」の認定を受けている。現在の本館病棟は1970(昭和45)年に竣工。老朽化が進み、医療の進化やデジタル化への対応に課題が生じ、2016(平成28)年からリニューアル構想の策定を始めた。コロナ禍による建築計画の見直しを経て、2023年に同敷地内で新本館棟の建設に着手。今年9月に竣工し、来月から新本館での診療を始める。
リニューアルのキーワードは「つなぐ医療」。診療科間の連携を強化してチームで「診療をつなぎ」、最適な治療ルートを迅速に構築する。急性期から在宅、介護まで切れ目のない医療を提供し、「地域をつなぐ」役割を担い、出産から高齢者医療まで「人生をつなぐ」医療を目指す。建学の精神である「病気を診ずして病人を診よ」という理念の「歴史をつなぎ」、大学付属病院として最先端技術を取り入れ、医療の質向上と次世代の医療人材育成を図り、「未来につなぐ」というもの。
新本館棟は地上8階・地下1階建てで、延べ床面積は約4万4000平方メートル。個室を77室から166室に増やし、病床数は494床に集約した。感染を防ぐ動線を随所に設け、陰圧室も多く配置。エントランスには樹木の幹をイメージした木調の壁を設け、4階には屋上庭園を整備するなど、「周辺の豊かな自然と調和する、安らぎを意識した空間にした」という。
診療部門に大きな変更はなく、新たに脳神経内科と脳神経外科などが連携する「脳卒中センター」、地域初の緩和ケア病棟、産後ケアサービスなどを整備する。同院と地域の医療機関をつなぐ役割を担っていた総合医療支援センターは「患者支援・医療連携センター」に名称を改め、引き続き患者を切れ目なく支援する。さらに集中治療室を増床して救急医療を強化し、地域の災害拠点病院として、北多摩南部診療圏を中心に、東京西部地域の医療拠点としての役割も担う。
平本淳病院長は「これまで設備面などで、不便を感じる患者も多かった。今回のリニューアルを機に、地域の皆さんにより安心して利用してもらえれば」と話す。