調布市立第六中学校(調布市国領町3)の教員と生徒が1月23日、市の研究推進校として2年間取り組んできた「まなびの森」プロジェクトの研究発表を行った。
舞台上で行われたパネルディスカッション、登壇した生徒7人と講師の小林湧教諭
同校・佐伯あつ子校長の念願だった「まなびの森」構想は、学校全体を「まなびの森」に見立て、徹底した人権尊重の精神の下、生徒主体の学びや対話・協働を重視した教育活動を行うもの。佐伯校長は「森という言葉は、研究の土台である多様性を象徴している。人権教育、キャリア教育を基盤として、『緑と平和を守る地球人』を育てることが願い」と話す。
研究テーマに「まなびの森で創る 未来につながる授業」を掲げ、生徒の多様な学びの仕掛けや教育の在り方を探究してきた。研究は、教員による3つの部会「授業づくり部」「関係づくり部」「環境づくり部」と、1年前に発足した生徒の「ジュニア研修部」で進めてきた。「ジュニア研修部」の部員は23人で、全学年から希望者を募り、生徒が継続して研究に参加している。
部員の活動の一つが、研究授業後に行う教員の協議会への参加。授業を受けていた生徒が対話に加わり、生徒の視点から意見や感想を述べる。一部の生徒が他学年の授業を参観することもある。「校内研修は教員だけで行うのが一般的で、研究授業も教員同士で参観するのが主流。六中は研究授業や協議会に生徒が参加する、チャレンジングで非常に珍しい取り組み」と帝京科学大教職センター助教の宇佐美健さんは評価する。
23日の研究発表は、「まなびの森」の2年間の歩みを紹介する動画で始まった。体育館には、市内外から教員や教育関係者、保護者らが集まり、生徒が登壇するパネルディスカッションも実施。約500人を前に、「ジュニア研修部」の生徒7人が、「まなびの森」や研究に関わって感じた変化や学びについて、自分の言葉で発表した。
ジュニア研修部3年の高瀬実花さんは「協議会で、先生の授業づくりに生徒の感想カードが役立っていると知った。それまでは面倒だと思っていたが、きちんと書こうと意識が変わった」と発言。同じく3年の田村朋樹さんは「個人的に先生に伝えるのが難しいことも、ジュニア研修部として協議会で発言することで授業がより良くなったと感じる」と話した。
昨年12月には、パネルディスカッションに向けたミーティングが校内の「MORIルーム」で開かれた。ミーティングには、研究の講師として伴走した石川県加賀市教育委員会の小林湧さんがオンラインで参加し、生徒7人と当日の流れや内容を確認しながら意見交換を行った。「MORIルーム」は2024年、明るい森をイメージして開設した学びの拠点となる教室。授業のほか、生徒主体のコンサートやクイズ大会、外部講師による英会話教室、キャリア講座などが行われ、同校のシンボル的な空間となっている。
パネルディスカッション終了後、登壇した7人は笑顔で「もう少しハキハキ話せれば良かった」「思ったより緊張した」などと感想を述べた。同部2年の川野杏莉さんは「先生と生徒では感じ方は違うことがある。協議会では意見が対立することもあったが、それを乗り越えられたときはうれしかった。先生と一緒に学校や授業のことを考えられるのは楽しい」と話す。
佐伯校長は「構想は、もともと本校教員の校内研修のテーマだった。それが今では、生徒も『まなびの森』について語れるようになり、2年間、生徒と共に創ってきたという実感がある。教員だけでなく、事務、用務、図書館司書など、全ての教職員がこのプロジェクトを大事に思い、個々の力を最大限発揮して成功させた。プロジェクトを支え、温かく見守ってくださった全ての皆さまに心から感謝したい」と話す。