調布駅東口から徒歩2分、旧甲州街道沿いにある「なかざわ文具店」。カウンター奥の壁に、セピア色をした古い写真が店内を見守るように掛けられている。その写真に書かれた「甲州街道」「明治43年頃 歳末大売出し風景 中沢商店」の文字。有限会社「なかざわ」社長・中澤正勝さんは「唯一残っている昔の写真」と笑顔で語る。
「旅装束というか足袋(たび)や股引(またびき・ももひき)、手甲などを扱っていたようです。昔は商売の種類もそんなにないだろうから、今でいう洋服屋さんみたいなものではないかな」と話す。創業時について、「よく分からない。雑貨店などを経て文具専業になったのは40年ぐらい前。時代とともに職種も変わっていくもの」と言う。店内は種類豊富なペンやノート・ファイル類から、紙バッグやマスクまで数多くの商品が整然と並べられている。店を入ってすぐのスペースには受験シーズンということもあって必勝祈願の消しゴムや鉛筆キャップも。これからは年度末から新学期へと移っていくため、シーズンに合わせたタイムリーな商品を置くという。
「文具の多様化に対応するのか、こちらが商品を絞ってお薦めするのか。そこが一番難しいところ」と頭を悩ませる。店内面積に限りがあるからだ。「文具を全種類網羅するには店の広さが100坪(約330平方メートル)ないとだめと言われている。多様化に合わせると店の広さも100坪必要になるので商品を絞っている」。取り扱う文具の取捨選択の基準の一つに商品の新旧交代があるという。「『10年前から気に入って使っていたボールペンと同じものがありますか』というお客さんがいても、メーカーはこれまでの商品を全部作っていくわけにはいかないので製造されていないこともある」と説明する。
最近はネット通販で文具が買えるようになったが、「見て、試してから買えるのが強み。デザインが優れている商品は仕入れるようにしている。もちろん機能があっての話」と自負する。「会話ができる店」というのも大きな強み。低価格で商品を販売する小売店、いわゆる「100円ショップ」が増えたが、「ボールペンにしても、それぞれ品質が違う。ペン先のミリ数もいろいろあるし、それはメーカーによっても基準が違う。聞かれればボールペン一本一本の書き味についてアドバイスできる」。ちなみにボールペンの今の売れ筋は「書き味がいいという理由で三菱鉛筆のジェットストリーム」と即答する。
「家族でやっている店なので、お子さん一人での初めての買い物やパパママに頼まれたおつかいでも声がけし見守っているので、安心して買い物してほしい。地域デビュー応援します」と力を込める。
【なかざわ文具店】
住所:〒182-0024 東京都調布市布田1丁目21-3
電話番号:042-482-1625
営業時間:9:30~19:00
定休日:第2・4日曜日