調布市の郷土博物館(調布市小島町3、TEL 042-481-7656)で現在、京王電気軌道(現在の京王電鉄)の開通当時に使用されていたレールが展示されている。
同レールはアメリカのカーネギー社の社名「CARNEGIE」と製造年を表す「1911」の文字が刻まれている。今年100周年を迎えた京王電鉄だが、同レールは1913(大正2)年の開通に先立ちアメリカから輸入されたもので、開業2年前に発注されたとされる。その後、役目を終えた同レールはホーム屋根の支柱として転用されていたところ、同館職員の小野崎さんが1980年代に発見。1997年の仙川駅改修工事の際に京王資料館に連絡を取り、同資料館と同博物館が1本ずつ保管することとなった。
当時の「京王電気軌道」は東京市電(現在の都電)と同じ路面電車とされ、レールの間隔「軌道幅」は1372ミリメートルだったが、都電のほとんどが姿を消し、京成などかつての軌道法に基づいたほかの私鉄も軌道幅を改正したことから、東京に残る1372ミリメートル幅の鉄道は、京王線、都営地下鉄新宿線、都電荒川線、東急世田谷線のみとなっている。
同博物館の小野崎さんは「古いレールは戦時中の供出などもあり残っていないと思っていたので、発見した時にはうれしかった」と話す。
開館時間は9時~16時。月曜休館(祝日の場合は翌日)。入場無料。レール展示は6月30日まで。