調布市文化会館たづくり(調布市小島町2)1階・展示室で現在、武者小路実篤記念館移動展「河野通勢展~その描写と想像の世界~」が開催されている。
「大正の鬼才」として語られている画家・河野通勢(こうのみちせい)は1914(大正3)年に19歳で二科展に初入選後、岸田劉生らの草土社に参加し活躍した。武者小路実篤と河野は、実篤や志賀直哉らが1910(明治43)年に創刊した雑誌「白樺」の活動を通して交友を深め、河野は実篤の代表作となる「井原西鶴」などの著作の装丁や挿絵を描いている。
河野は、若き日に育った長野市裾花川周辺の自然と対峙(たいじ)して描き続けた素描やハリストス正教会の信者として聖書を題材にした祈りの美、画業をたどる油彩画や版画、挿絵などの作品を残している。同展示では、河野の遺族から同市に寄贈された作品群を中心に185点を展示する。
また、11月1日には武者小路実篤記念館・学芸員の福島さとみさんによる展示解説「ギャラリートーク『河野通勢の魅力』を行うほか、8日は新渡戸文化短期大学生活学科教授の岩切信一郎さんを講師に招き、講演会「河野通勢に見る文化の挿絵」も開く。
同市文化・コミュニティ振興財団の村木さんは「今回の作品は、小金井市にあるアトリエに保存されていた作品群を実篤記念館の学芸員が調査などを行い、ご遺族から調布市に寄贈された貴重な作品を展示。河野の作品を一堂に会する展覧会は、数少ないと言われているので、ぜひこの機会にご覧いただければ」と話す。
開催時間は10時~18時。10月27日・28日休館。11月9日まで。入場無料。ギャラリートーク開催時間は14時~15時。申込不要。講演会は13時30分~15時。要申込。