調布市郷土資料館(調布市小島町3、TEL 042-481-7655)で現在、調布市が有形文化財に指定した下石原遺跡縄文時代後期土壙墓(どこうぼ)群出土土器、土製品を展示公開している。
同遺跡は多摩川中流左岸より東西約700メートル、南北約200メートルの範囲に広がる縄文時代から中世にかけての複合遺跡で、1984(昭和59)年の第1次調査より83回にわたる調査が行われ、縄文時代後期の竪穴住居2軒、敷石住居1軒、配石遺構を伴う土壙墓(どこうぼ)65基、古墳・奈良・平安時代の竪穴住居89軒、掘立柱建物51軒、鍛冶(かじ)工房1軒、方形周溝墓1基、円墳跡3基、まいまいず井戸1基、中世時代の銭貨などが検出されている。
また、同遺跡からは副葬用に特別に作られたと考えられる小型の土器や日常生活で使っていた土器を死者の顔や体に覆いかぶせたと考えられる大型の破片なども出土した。土壙墓(どこうぼ)の周辺からは土笛や土製耳飾りが出土し、葬送儀礼や祭祀に使用された可能性が推測されている。
多摩地域では縄文時代後期から晩期にかけての集落や墓地遺跡は極めて少なく、住居と墓地が隣接して発見された例は武蔵野台地ではほかに例がない。同遺跡から出土した縄文土器22点と土製品4点は、多摩地域の縄文時代後期の社会や墓制、葬送儀礼を知る上で極めて貴重な資料であるとして、今年の3月30日付けで調布市が有形文化財に指定した。
同館の金井安子さんは「発掘調査から長い年月を経て、ようやく市の文化財に指定された。夏休みに合わせて展示公開しているので、ぜひ見に来てほしい」話す。
開館時間は9時~16時。月曜休館(祝日の場合は翌日)。無料。展示公開は9月6日まで。