調布・多摩川でアユの産卵が間もなくピークに 遡上の鍵握るシーズンに

多摩川の石に産み付けられたアユの卵、目が見られまもなくふ化を迎える

多摩川の石に産み付けられたアユの卵、目が見られまもなくふ化を迎える

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 調布市を流れる多摩川の「二ヶ領上河原堰(にかりょうかみがわらぜき)」(調布市染地2)から狛江五本松前(狛江市猪方4)付近の流域で、今年もアユの産卵が始まっている。

多摩川で開催されたアユの産卵観察会、子どもたちに卵の説明をする山崎充哲 さん(中央)

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 回遊魚のアユは、海から川を上って夏場は上流で過ごし、産卵するため秋になると下流に下る。卵は10日ほどでふ化し、ふ化した稚魚は3日ほどかけて海に行き、河口付近の東京湾で大きくなる。習性から、成長したアユは春になると、また川に戻ってくる。

 多摩川では、二ヶ領上河原堰~五本松付近の瀬、宿河原堰下流の瀬などが産卵場所と考えられている。水温が低下し始めると、アユは台風などの増水の流れに乗って川を下り始め、産卵場所に適した浅瀬に集まってくる。台風で藻やコケ、ぬめりなどが洗われた川底の石や砂利に、母アユはビッシリと産卵して役目を果たすと死んでいく。

 東京都島しょ農林水産総合センターによると、2017年の多摩川のアユの推定遡上数は、約158万尾。調査開始以来最高を記録した2012年の約1194万尾と比べると約7分の1に、昨年の約463万尾と比べても約3分の1と激減した。昭和の高度成長期(1960年代)には、水質汚染によりいったん多摩川から姿を消したアユだったが、近年は高水準で戻っていたため、今年の遡上数は激減したといえる。

 川崎河川漁業協同組合総代で、飼えなくなったペットなどを受け入れる「おさかなポスト」の創設者・山崎充哲さんは「秋から冬の産卵状況によって、翌年の遡上数が決まってくる。今年の遡上が減ったのは、昨年の産卵が少なかったということ。天候や天敵など要因は複合的に考えられるが、取水ぜきの多い多摩川の場合、上流のアユが、産卵の時期に川を下れない魚道の問題もあると考えている。元気に川を上った大きなアユが、卵をたくさん持ったまま下流の産卵場所にたどり着けずに死んでしまうのでは」と推測する。

 山崎さんは「カワウやサギなどの天敵もいる中、二ヶ領上河原堰付近のアユが産卵して命をつないでいる。寿命が一年のアユは毎年の産卵が勝負。12月初めの大潮が産卵のピークなので、来年の遡上につながるよう、多摩川を注意深く見守っていきたい」と話す。

 アユの産卵は12月いっぱいまで続くと見込まれる。

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