調布飛行場と大島空港を結ぶ定期航空便を描いた絵本「ちいさなひこうきの たび」が8月5日、一般書店用として発売された。
同書は、10人乗りのプロペラ機が調布飛行場から飛び立ち、大島空港に着陸するまでを描く。離着陸シーンは迫力とスピード感があり、飛行中の場面には調布市内や横浜港など場所が特定できるほど精微な鳥瞰(ちょうかん)図が繰り広げられる。飛行場での整備士の点検業務や管制塔内の風景、コックピットの様子などもリアルで、大人も楽しめることから、過去に月刊絵本や保育園幼稚園用の限定版で発行されていたが、これまでの好評を受け、福音館書店が発売を決めた。
作者のみねおみつさんは、家業の自動車整備工場を継ぎ、自動車整備エンジニアとして働きながら絵画作品を発表。その後、個展活動とともに絵本の創作を手掛けてきた。子どもの頃のみねおさんは大の飛行機好きで、休日になると八王子にある家から自転車で飛行場に通い、飛行機撮影に熱中した。長じて小型飛行機の操縦免許を取得する際も、教習で調布飛行場に通った経験を持つ。
同書の制作に当たっては、飛行場とその関係者に取材し、実際の大島便に複数回乗って写真を撮影。大島着陸時のコックピット内は、着陸の瞬間の計器表示の数値をパイロットに聞いて描き込むなど、細部にもこだわったという。
みねおさんは「私にとって、調布飛行場は体の一部のような存在だった。日本の小型機の歴史を支えてきた貴重な飛行場でもあり、いつか絵本にしたいとずっと思っていた。この作品を通して、多くの人にその存在と魅力を伝えられたら」と話す。
価格は900円(税別)。