「市川銕琅・悦也 父子展」が現在、調布市文化会館たづくり(調布市小島町2)1階展示室で開催されている。
公益財団法人調布市文化・コミュニティ振興財団と調布市郷土博物館が主催し、木彫工芸作家として活躍した市川銕琅(てつろう)さんと、その長男で彫刻家の市川悦也さんの作品を展示。両氏の父子展の開催は42年ぶりで銕琅さんの没後初となり、共に彫刻の道を歩んだ作風の異なる父子の作品を楽しめる。
銕琅さんは、1901(明治34)年調布市国領に生まれ、木彫や仏画の名工・加納銕哉(かのうてっさい)さんに14歳で師事。若くして奈良に拠点を移し、金工・木工品、竹などの器物の表面に線刻する「銕筆(てっぴつ)」とよばれる技法の修業を積んだ。やがて、奈良一刀彫などの伝統工芸を受け入れながら、茶道具や写実的な表現の丸彫りの木彫床飾りを中心に制作を展開し、多彩な作品を残している。
銕琅さんの長男として奈良に生まれた悦也さんは、高校卒業後、彫刻家・平櫛田中(ひらくしでんちゅう)の書生を経て東京芸術大学美術学部彫刻科に進学。特に木彫による表現にこだわり、神戸を拠点に手掛けてきた現代的な作品の数々は、国内のみならず海外からも評価されている。銕琅さんから直接の指導は一切なかったという悦也さんは、「父の作品は完成度や美意識の基準になるもので、表現の違いを超えて厳然と存在する美学だ」と話す。
関連イベントとして、7日に、調布市郷土博物館顧問の小野崎満さんによるギャラリートークを予定。開催時間は、14時~(約1時間)。無料。当日先着順。
開催時間は10時~18時。入場無料。12月23日・24日休館。12月28日まで。