調布市仙川駅前で地域に見守られてきたサクラの花が見頃を迎えた。
2000(平成12)年の仙川駅前整備の際に移植され、大きく育ったもう一本のソメイヨシ
樹齢約80年となる仙川駅前のソメイヨシノは、2000(平成12)年秋、駅前の再開発に伴い伐採される計画だったが、地域住民を中心に伐採反対の署名が1万4000人分集まり、市は伐採計画を撤回。仙川駅のシンボル樹木として、毎春見事な花を咲かせて地域の住民や通勤・通学客を楽しませ、市内のサクラスポットとしても人気となっているが、舗装により栄養が行き届かずに年々樹勢が衰え、土壌改良や施肥などの処置も行われたが、上半分には花がつかなくなってきていた。
2001(平成13)年から毎年サクラの語り部としてサクラの下でチャリティーコンサートを企画している市民グループが、昨年「駅前桜の危機『延命治療」にラブコール」と題して同イベントを開催。集まった募金を同市に託して働き掛け、昨年5月と今年2月に樹木医の指導の下、枯れ枝を切って養生し、土壌改良するなどのさらなる処置が取られた。多くの人が生育を見守る中、春の訪れとともに樹勢回復の兆しが見られ、高い枝にも花をつけた。
近所の住む人は「弱ってしまってとても心配していたけれど、回復作業のおかげでまたサクラが見られてうれしい。夏には緑の日陰となって私たちを守ってくれて、とても大切なシンボル」と笑顔を見せ、写真を撮っていた人は「包帯や添え木を巻いていて痛々しいが、美しい花を咲かせて楽しませてくれる姿は、困難な中でも頑張ってというメッセージのようだ」と話していた。