東京・府中の「大國魂神社(おおくにたまじんじゃ)」(府中市宮町3、TEL 042-362-2130)で毎年4月30日から5月6日に開催する例大祭「くらやみ祭(まつり)」が、今年は神事のみ行うことになった。
同祭は国府祭を起源とする例大祭で、かつては神輿渡御(みこしとぎょ)を深夜に行っていたため「くらやみ祭」と呼ばれる。「江戸名所図会(えどめいしょずえ)」に登場するほど長い歴史があり、「武蔵府中(むさしふちゅう)のくらやみ祭」として東京都の無形民俗文化財(風俗慣習)にも指定されている。例年は期間中さまざまな催し物が行われ、70万人の人出でにぎわう。
今年は、新型コロナウイルス感染症拡大を考慮して、大勢の観客が集まらないよう神事のみ行うことに決まった。中止するのは、5月3日の「囃子(はやし)の競演」「競馬式(こまくらべ)」、4日の「萬燈(まんとう)会」「子供神輿連合渡御」「太鼓の響宴」「山車(だし)行列」(4日)。5日の行事はすべて神事になり、神輿や太鼓の渡御を行わず、馬も登場しない。
神事は、一般の人の観覧や参加ができない。神楽殿での神楽奉納など神賑(かみにぎわい)行事も行わない。期間中、露店や植木市は出店しない。祭礼は通常通りに行うため、一部通行規制がある。
近年では東日本大震災の2011年(平成23年)に太鼓渡御を行わず、みこしの代わりに「唐櫃」(からびつ)に神を移して御神幸(ごしんこう)した。