国立天文台は小惑星探査機「はやぶさ2」のカプセルが地球に帰還する直前の12月5日夜、三鷹キャンパスの50センチ公開望遠鏡で同探査機とカプセルの両方を写真撮影することに成功した。画像は7日から、公式サイトの「ギャラリー」ページで公開している。
11月19日に三鷹キャンパスで撮影した小惑星リュウグウ ©国立天文台
同探査機は6日深夜2時過ぎ、小惑星リュウグウで採取した試料の入ったカプセルをオーストラリア南部ウーメラ近くの砂漠に着地させた。宇宙航空研究開発機構(JAXA)はカプセルを日本に運び、14日に黒い砂粒状のサンプルを確認した。探査機本体はカプセルを投下した後、新たに探査予定の別の小惑星へ向かっている。
同台の撮影チームは、「はやぶさ2」がオーストラリアへ向かって日本上空近くを通過した5日20時16分、探査機本体を撮影することができた。想定していたよりも明るく写ったことで、「もしかしたらカプセルも写るかもしれない」と思い挑戦した。カプセルはかなり小さいため暗く、当初は撮影しても写らないかもしれないと思っていたが調整を重ねた21時11分、切り離されたカプセルと本体の両方を1枚の写真に納めることに成功した。
担当者は「カプセルが写ったことで予定どおりの位置を飛行していることが分かり、順調に帰還していることを実感した。次のミッションへ向かう『はやぶさ2』を見送ることもできて感動した」と話した。
「はやぶさ2」が南半球へ移動し地球の影に入り見えなくなるまでを収めた動画は、ユーチューブの国立天文台公式チャンネルで見ることができ好評を博している。動画を見た女性は「これからも『はやぶさ2』を応援したい気持ちになった」という。11月19日に撮影した小惑星リュウグウも、ギャラリーページに公開している。