国が小中学生1人1台情報端末の配備を進める中、調布市教育委員会は1月22日、市立小中学校へのタブレット端末の配備を完了し、現在、各学校では全児童生徒への配布が進んでいる。
22日からタブレットの配布を開始した同市立第三小学校。校庭には受け取りに来た保護者がソーシャルディスタンスを取り列を作った。同校の授業でのタブレットデビューは配布完了後の2月からで、受け取った児童は笑顔を見せる一方、保護者からは、期待と不安、両方の声が聞こえてくる。
同市に隣接する狛江市の市立緑野小学校は、2年生以上の全児童に1台、1年生は2人で1台を使用している。同校の亀田親子校長は「導入後、現場が慣れてきたことで、タブレットの活用は進んでいる。高学年になればなるほど、使い勝手は良くなる。調べ学習はもちろん、Microsoft Office(マイクロソフトオフィス)365を活用して、資料や画像の共有、文書作成、Teams(チームズ)会議、電子図書など、授業に合わせてアプリを使っている。冬休みは、自宅学習の課題に電子ドリルなどを活用した学年もある」と話す。
「これからはタブレットも文房具で、学校に鉛筆と消しゴムが必要なのと同じこと。デジタル社会に出て行く子どもにとって、グローバルな視点から見ても、ICT機器を使った学習は可能性を広げてくれる。使い方を身に付けることは間違いなく必要な力になる。市に関係なく、活用法やこれからの課題は、どの学校も似てくるのでは」と亀田校長。
「タブレット導入と通信ネットワークの整備によって、万が一、休校になっても、遠隔授業が可能な環境が整った。スムーズなオンライン授業ができることが次の目標だが、全学年同一歩調が大切。トライ&チャレンジの精神で、徐々にステップアップしたい。子ども、家庭、教員の全てを取りこぼさないよう意識しながら、一歩一歩進めていくことで不安を少なくしたい」とも。
公立学校でのICT教育の推進は、多様な子どもたちを誰一人取り残すことのなく、公正に創造性を育む学びの機会を付与できるほか、特別な支援が必要な子どもの可能性も広げるなど期待は大きい。一方で、社会問題化するSNSトラブルやネット依存など、タブレットの向こうに潜む闇から子どもを守る課題も。導入後の活用と対策が注目される。