府中・東京競馬場近くにあるもつ煮込み専門店「たま家食堂 本店」(府中市是政3、TEL 042-362-6202)の「もつ煮込み」自動販売機が、コロナ禍の巣ごもり需要を追い風に売り上げを伸ばしている。
食肉卸売・加工業の「多摩庄内ミート・オークフーズ」(埼玉県越谷市)が、工場で生じる内臓や規格外の肉を有効利用する「フードロス」への取り組みとして始めた同店。本店に続き、2013(平成25)年には同市に2店舗目となる美好町店をオープンした。平日ランチタイムのみの営業だが、看板メニューのもつ煮込みを求める常連客や営業マンで連日にぎわう人気店になっている。
以前から店内で土産用のもつ煮込みを販売していたが、今年2月、店前に「もつ煮込み」自販機を設置。飲料用の自動販売機を使って、持ち帰り用のもつ煮込みパックをペットボトルのサイズに巻いて販売する。販売しているのは「もつ煮込み(こんにゃく入り)」(600グラム=700円)。自販機は美好町店にも設置している。
同社社長の大久保さんは、「肉の卸や大手スーパーの下請けでチャーシューなどの加工肉を作る過程では、規格外という理由で流通できない肉や内臓などが生じる。どれも捨てるのはもったいないという思いから飲食店を始めたが、おかげさまで予想以上に繁盛している。コロナによる巣ごもりから自販機の売り上げは好調で、売り切れる日が多い」と話す。
同店のもつ煮込みは、豚もつをみそとしょうゆで3時間以上煮込む。圧力鍋を使って「丁寧に」下処理をするため「もつ特有の臭みがなく、とろけるように軟らかいと評判で、ランチに来る女性客も多い」と担当者。店舗では、「もつ煮込定食」(550円)、「もつ煮込カレー」(550円)、10食限定「とろとろスペアリブ定食」(650円)の3つのメニューを提供している。
大久保さんは「もつは精肉に比べてビタミンやミネラル、コラーゲンなど栄養価が高く、見直されていい食材。フードロス削減に加え、食生活・食文化という意味においても貢献できるように本腰を入れていきたい」と話す。自販機については、「『もつ煮カレー』と『もつのトマト煮込み・トリッパ』を夏ごろに新商品として販売し、『もつ煮3兄弟』を目指したい」とも。
店舗の営業時間は11時~14時30分。土曜・日曜・祝日定休。