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調布で約4000人の「新成人」誕生 民法改正、決意や夢、困惑を抱え

調布市名物の「大人の階段」 成人式会場への階段に装飾

調布市名物の「大人の階段」 成人式会場への階段に装飾

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 民法改正によって4月1日に成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたことに伴い、調布市では約4000人の「新成人」が誕生し、それぞれの新生活をスタートした。

山本大貴さんが温室効果ガスの大幅削減を求め、経済産業省前で訴えた様子(2021年4月)

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 調布市では毎年約2000人が20歳を迎え新成人の仲間入りをし、毎年1月に開催される成人式では会場に装飾された恒例の「大人の階段」を上ってきた。約140年間続いた民法の改正により4月1日に成年年齢が18歳に引き下げられたことに伴い、2002(平成14)年4月2日から2004(平成16)年4月1日までに生まれた人が新たに「成年」となり、4194人(4月現在)の「新成人」が誕生した。

 調布市内で生まれ育ち今春高校を卒業した山本大貴さんは、高校1年の秋に台風19号による多摩川の氾濫で近所の友人宅が浸水する災害を目の当たりにした。冬に訪れたインドネシアではプラスチックゴミが浮かぶ海で遊ぶ子どもたちを見て、気候変動や環境問題に関心を持ち、スウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんが始め世界的に広がった気候変動危機への対策強化を訴える活動「Fridays For Future」の日本の活動に参加。昨年4月の政府による地球温暖化対策計画策定の際には毎週金曜、学校を休んで国会前などで温室効果ガスの大幅削減を訴え、同市内を拠点に電力自立小屋の普及を目指す活動にも協力するなど、精力的な活動を続けている。

 大学入学と同時に成年になったことについて、「実感はなく心身ともに未熟なことに変わりはないが、親と一緒に決めていたことを独りで決める年齢になり、責任を持たなければと思う。これまで『若者』という肩書の活動をしてきたが、これからは加えて自分の軸を中心とした大人としての活動もしていきたい」と決意を新たにする。

 市内の大学に通う19歳のほのかさんも、成人になったことについて、「実感が湧かない」と言う一方、昨年5月で18歳になり選挙権を得て投票に行ったことで「政治に参加し、大人として認められたと感じた」と言う。高校時代には吹奏楽部、大学では音楽サークルに所属しているがコロナ禍で発表の機会が激減し、アルバイトでためた小遣いで好きなアーティストのグッズを買うのが一番の楽しみ。ネット決済やキャッシュレス化が進む中、「成年になってクレジットカードを作ることができるのはうれしい」と話す。

 今春、長野県茅野市から上京した市内在住の智咲さんは、成年になったことについて、「自分でできることが増えたのはうれしいが、取得年齢が引き下げられた資格など、自分から情報を見つけなければならないのが難しい」と言う。志望していた大学の観光まちづくり学部で学ぶことについて、「いろいろな地域を訪れ、それぞれのまちづくりを学ぶのが楽しみで、将来は地元に戻って地域に貢献できたら」と話し、新成人それぞれが新しい生活を歩み始めた。

 同市では、毎年1月に開催している成人式について、新成年となる18歳は受験期や就職期と重なり出席が困難な場合も多いことを考慮し、今後についても引き続き20歳を対象に「調布市二十歳のつどい(仮称)」を開催する予定。

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