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府中市美術館にモリスの「いちご泥棒」など約150点 近代デザインの流れを紹介

ウィリアム・モリス「いちご泥棒」1883年 個人蔵

ウィリアム・モリス「いちご泥棒」1883年 個人蔵

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 府中市美術館(府中市浅間町1、TEL 050-5541-8600)で現在、生活用品のデザイン革新運動を紹介する企画展「アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで」を開催している。

ウィリアム・モリス「格子垣」1864年 個人蔵

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 「アーツ・アンド・クラフツ(Arts and Crafts Movement)」とは19世紀イギリスで始まったデザイン運動で、美術工芸運動ともいう。職人による丁寧な手工芸の復興を目指すもので、暮らしに美しいデザインを取り入れた。ヨーロッパで広まったこの運動は、やがてアメリカや日本にも広がった。同展では家具、テキスタイル、ガラス器、ジュエリーなど約150点を展示しながら、イギリスやアメリカでの動向を紹介する。

 同展の見どころとして4つが紹介され、1つ目は「モダンデザインの父」と呼ばれ同運動を主導したウィリアム・モリス(1834年~1896年)の代表的な作品20点の展示。モリス氏が「世界で一番美しい家」と呼び新婚時代を過ごしたレッド・ハウスの、バラの垣根をヒントにした「格子垣」や、現在も高い人気を誇るテキスタイルの「いちご泥棒」などを紹介している。

 2つ目は、同運動の発展に重要な役割を果たした5人(ルイス・フォーマン・デイ、クレイン、ヴォイジー、モリス商会の後継者ベンソン、アシュビー)によるデザイン作品の展示。壁紙やランプ、食器など、それぞれの個性がうかがえる。

 3つ目は、「リバティ・プリント」でおなじみのリバティ社のテキスタイルやアクセサリーなど。同社は、モリス商会のライバルであり理想を同じくする同志でもあった。

 4つ目は、アメリカで独自の発展をとげたアーツ・アンド・クラフツの世界を紹介していること。例えば、高級宝石商のティファニーが多くの人々の手に届くように量産したランプ。旧帝国ホテルの建築家として知られるフランク・ロイド・ライトが手がけたステンドグラスなど。

 同館学芸員の音ゆみ子さんは「モリスをはじめ、さまざまなデザイナーが『人々が幸せに暮らす』ためのもの作りに真摯に向き合っている。デザインの奥に隠された彼らの思いも感じながらご覧いただければ」と話す。

 開館時間は10時~17時(入館は16時30分まで)。月曜休館。観覧料(常設展を含む)は、一般=900円ほか(「府中っ子学びのパスポート」や障害者手帳などの提示で無料)。12月4日まで。

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