精神科病院の東京さつきホスピタル(調布市東つつじケ丘2)が現在、東急8500系車両を設置するのに必要な費用を集めるため、クラウドファンディングで協力を呼びかけている。
医療施設に作業所(創造農園)と地域生活支援センター(希望ヶ丘)が隣接する「東京さつきホスピタル」
同院は1957(昭和32)年、山田病院として開業。老朽化のため2020年、現名称に変更し、京王線つつじヶ丘駅近くに新装開院した。「一般精神科」に加え「認知症専門科」「発達・思春期精神科」を備え、子どもから高齢者まで幅広い世代に対応する。日本初の精神障がい者授産施設「創造農園」も備え、地域住民も参加できるイベントを行うなど開かれた医療と福祉の施設として活動している。
8500系車両は、1975(昭和50)年に東急電鉄(当時)が導入した通勤形電車。田園都市線を中心に走行し、軽量ステンレス車体と赤帯が特徴。1976(昭和51)年に「鉄道友の会ローレル賞」を受け、「ハチゴー」の名で親しまれた。新型車両導入に伴い廃車が進んだ2021年、東急は同車両の販売を発表した。
電車を設置することで、患者だけでなく地域の人々の憩いの場になることを願い「ハチゴープロジェクト」を立ち上げた同院。副理事長の石坂真一郎さんは「用事がなくても気楽に来てもらえる場所にすることで、精神科病院に対する敷居を低くしたい。電車のある病院にさまざまな人が集い、必要があれば医療サポートにつなげることで、少しでも皆さんが生きやすい世の中になれば」と話す。
同プロジェクトは、車両の購入・静態保存に必要な整備・搬送に充てる資金を得るためクラウドファンディングを始めた。11月30日に第1目標の2,900万円を達成し、現在はネクストゴールの5,000万円を目指している。石坂さんは「多くの賛同者から支援頂き感謝するとともに、精神科病院の在り方について皆さんに考えていただくきっかけになれば」とも。
返礼品には、同院施設で提供している菓子や同院が力を入れる食支援チーム推薦の食品の他に、「ハチゴー」の赤帯など実物パーツや関連グッズ、クレーンによる車両設置見学や公開時のお披露目セレモニー参加権などを用意している。12月23日23時まで。