「天然」のたい焼きや小樽名物ぱんじゅうを販売する「深大寺 たい焼き慎之介」(調布市深大寺元町1、TEL 042-426-8411)が調布「深大にぎわいの里」にオープンして、5月11日で半年がたった。
「深大寺 たい焼き慎之介」のたい焼きソフト ミックスアイスに焼きたてのたい焼きをのせて
一匹ずつ鉄の型で焼く通称「天然」と呼ばれるたい焼きや、北海道小樽市の伝統的な和菓子で蒸さずに焼くまんじゅう「ぱんじゅう」などが看板メニューの同店。祖父母や両親など調理師一家で育ち、子どもの頃から調理師になるのが自然の流れだったという北海道出身の熊沢曜さんが手がける。老舗料亭なだ万やホテルニューオータニなどで約10年修業を重ね、独立して創作和食中心のレストランを約8年経営していたが、体調不良により閉店。長男の慎之介さんが調理師学校を卒業した機会に、再び家族で店を持つことを決意した。
出店するテナントが市場の中だったことから、買い出しに来た人が買って帰りやすく、周辺にあまりない和菓子に着目。祖父母が手作りしていて子どもの頃から好きだったたい焼きやぱんじゅうの味に立ち戻り、それらを看板メニューにする同店を開いた。老舗料亭で教え込まれた「食材や製法に妥協しない」という考え方から、食材は全て「最高級」のものを使用。粒あんの小豆には、豆問屋の中で「最上級」のものを使い、砂糖は「どこか懐かしい味」だという鹿児島種子島産の粗糖を使う。生地には北海道産の小麦粉に国産の上新粉やもち粉を加え、冷めても固くならない独自の配合を追求した。
粒あんは、鍋だけで10キロあるという銅鍋を使い、5時間かけて手作りする。たい焼きは1本2キロある鉄型で一匹ずつ焼く「一丁焼き」と呼ばれる製法。一匹ずつに直火が回ることで「香ばしく仕上がる」といい、「うろこが細かくて深く、表情のいい型を選んだ」と言う。
開業当初、市場に買い出しに来た人向けにのんびりと営業するつもりで1日100匹程度の販売予定だったが、連日1~2時間程度で完売。小豆を炊く鍋を大きくしてたい焼きの鉄型も増やし、年末年始には連日400匹が完売した。半年間で販売したたい焼きは2万匹を超え、ぱんじゅうも2万個近くを販売した。
メニューは、「天然たい焼き」(250円)、「小樽ぱんじゅう」(100円)のほか、「特選ソフトクリーム」(400円)、ソフトクリームに焼きたてのたい焼きを乗せる「たい焼きソフト」(650円)なども用意。当初店内の喫茶も準備していたが、たい焼きの製造に集中するため店頭販売のみで営業する。
熊沢さんは「地域の皆さまに喜んでもらえるよう、自分で納得できるものをこれからも提供していきたい。祖父母の店が自分の思い出の味だったように、地域の子どもたちの思い出に残るような店にできたら」と話す。
営業時間は12時~17時。月曜・火曜・水曜定休。