調布の早咲き桜として親しまれている、通称「ハリウッドの大寒桜（オオカンザクラ）」（調布市調布ヶ丘3）が満開になり、桜の下は近隣住民や行き交う人々でにぎわいを見せている。

ハリウッドの大寒桜、淡いピンク色の花の様子

　1962（昭和37）年にハリウッド化粧品が工場設立の際に植えたこの2本の大寒桜は、以来ずっと地域住民に親しまれてきた。2000（平成12）年の工場移転に伴ったマンション建設の際に、桜の伐採計画があったが、地元の要望で保存が決まったという。2本は推定樹齢70年で、同市の保存樹木に指定されている。

　大寒桜はソメイヨシノに先駆けて2月下旬～3月初旬に開花し、3月中旬ごろまで咲き続ける。暖冬の今年は2月中旬まで暖かい日が多かったため、例年より早く2月半ばに開花し、現在、ほぼ満開となった。

　3月7日、桜をドローンで撮影していたのはマンション住民の有志でつくる「桜の保存会」。マンション管理組合理事長の山田さんによると、保存会は2年前から活動を始めたといい、2本の桜は樹木医の診断を受け、今年から樹木医による治療計画が始まっている。4月には、マンション住民に向けた桜の写真展やドローンで撮影した映像の上映会など、保存活動につながるイベントを開催するという。

　満開の枝から枝へと、花蜜を求めるメジロやヒヨドリが鳴き声を上げ、飛び交っている。桜の下で人々は足を止め、スマホやカメラを手に春の足音を告げる淡いピンクの花を見上げている。早春の訪れに静かな住宅街が、にぎわいを見せている。