独自で自治体などに「災害支援プログラム」を提供し、調布市とも災害時IT支援協定を結ぶサイボウズが7月10日、調布市総合福祉センター(調布市小島町2)で東京初の「防災サミット」を開催した。
ワークショップでは開発中の「調布市避難者登録フォーム」に実際にアクセスし意見交換
長友貴樹市長も出席し、市や社会福祉協議会職員、医療関係者、地元企業関係者が「災害に強い街づくり」を目指し、意見交換やワークショップなどを開催。前半は近年の災害における同市の対応や取り組みを紹介。同市社会福祉協議会の嵐祐子さんは、東日本大震災後、市内の味の素スタジアム内の施設に被災地からの避難者を受け入れたことで立ち上がった「調布市被災者支援ボランティアセンター」での当時の活動を紹介し、「情報の整理と発信にITは欠かせなかった」と話したほか、同市総合防災安全課の中川昇さんは2019年10月に同市も台風19 号の直撃を受け、市として初めて避難勧告を発令し、避難所を開設した際の対応や課題などについて振り返った。同課・大橋俊介さんは今年元日の能登半島地震において、同市と「災害時相互応援に関する協定」を結ぶ富山市からの応援要請を受け、避難所運営や被災者の健康管理の支援を行った現場の状況を紹介。日々の申し送りなど、職員間で情報を共有するツールのデジタル化の必要性などを話した。
後半は、「調布市被災者支援ボランティアセンター」で、ウエブサイトやボランティア登録フォームの立ち上げなどをサポートしたサイボウズの柴田哲史さんが、「災害時のICT活用ポイント」を講演。柴田さんは能登半島地震では石川県からの要請で、自衛隊の孤立集落の発見や避難所の情報を集約し支援を届ける活動にITを活用しサポートした。その時浮き彫りになった、現場での困難や課題を話し、情報フォーマットの統一化や、避難所の情報だけなく、発災前から要支援者などの個別の情報を把握しておくこと、避難所に来られない人への情報発信の方法などを準備しておく必要性などを提起した。
ワークショップでは開発中の「調布市避難者登録フォーム」を紹介。避難者が避難所でQRコードを読み取り、家族の状況や自宅家屋の被災状況、必要物資、ペット同行の有無などを入力するもの。参加者が実際にフォームにアクセスし、それぞれの立場から意見を交わした。
2019年の台風19号では実際に自身も被災し、被災したエリアの自治会長でIT関連企業に勤める同参加者の久保田紀之さんは「正しい情報をいかに迅速に展開できるかが重要。デジタルだからこそリアルタイムに情報を共有し、無駄なく迅速な支援につながるような仕組みが不可欠。デジタル化推進の土壌がある調布市の私たちなら実現できると思う」と話した。
長友市長は「災害対応は医療、福祉、行政の連携が必要。これは市内だけで整備すれば良いという問題ではではない。近隣の自治体や東京都全体で連携し整備していく課題。こういった取り組みをメディアでもどんどん発信してほしい」と話した。