東京アートミュージアム(調布市仙川町1、TEL 03-3305-8686)が現在、「誕生20年コレクション展」を開催している。
2004(平成16)年10月29日に開館した同館は、この秋で20年を迎える。同展では、池田龍雄さんの「広場・逃亡」、織田廣喜さんの「田園の裸婦」、草間彌生さんの「考えるかぼちゃ」、舟越桂さんの「冬の名前」、若林奮さんの「DISCONTINUOUS TWO HOURS-6」など同館が所有する作品から約50点を展示している。
同館が立つ仙川駅の東側地域では、戦後に計画された都道が1990(平成2)年に事業決定し、再開発されることになった。南北に細長い土地に幅員16メートルの道路が斜めに縦断することになり、同館オーナーは、残された三角形や台形の土地の有効的な活用方法を思案。さまざまな難題があったが、音楽大学のある土地柄や美術を愛するオーナーの考えに理解を示した関係者の協力により、建築家の安藤忠雄さんがデザインする複合施設が整備されることになった。その一棟が東京アートミュージアムとなった。
細長い三角形の土地に立つ同館は、安藤建築の特徴であるコンクリート打ちっぱなしを生かした三層吹き抜けで、トップライトやスリット状の開口部などから入る光によって建物自体に芸術性があるといわれる。中央に設けられた階段を上り下りすることで、壁に展示された作品をさまざまな角度から鑑賞することもできる。
「アートの街・仙川」にふさわしい安藤建築が6棟立つ街並みはその後、「安藤ストリート」と呼ばれるようになった。美術評論家で東京造形大学教授の藤井匡さんは「このミュージアムは隣接する劇場や保育園、集合住宅、テナントとして入る飲食店などとつながり、新しい街並みを作り出している」と話す。「今回紹介するコレクション作品もジャンルやスタイルはバラバラだが、『この街で出合った』という共通点がある。出合いは人間が予測できる範囲をこえる縁としか呼びようのない出来事であり、その積み重ねがこの場所の歴史を作ってきた。今展ではそんな機縁によって集まったアート作品を通じて、このミュージアムと街の歴史の一端を紹介する」とも。
開館時間は11時~18時30分(入館は18時まで)。月曜~水曜休館(8月15日・16日も休館)。入館料は、一般=500円、大学生・高校生=400円、小中学生=300円。9月29日まで。